夏色の君は知っている

夏バテ ページ12

夏祭り会場は運がよく、私のうちから徒歩で行けるぐらいの距離にある。


そういえば上杉君は距離だいじょぶなのかな？


遠くないといいけど…


暑いし、あんまり無理はしてほしくないし…



そんなことを思いながら歩みを進めていると近くに私と同世代の女の子たちが四人で歩いていきた。


みんないつもより一段とキラキラ輝いていた。




仲いい友達と浴衣お揃いで夏祭りか…

うらやましいなぁ。



そんなことをおもっているとふいにこんな話声がそのこたちから聞こえた。




「夏祭りはやっぱり彼氏ときたかったよねー」

「うんうん、リア充っぽーい」

「あ、でも逆に夏祭りで告白なんかもありだよねっ！」

「うわあ、それは少女漫画シュチュ！最高！」

「例えば…俺はお前のこと好きだから夏祭り一緒に来たかったんだよ。友達だからじゃなくて…とかね！」

「うーん、そんなの人生で一度はイケメンに言われてみたいよねー」






そんな風に楽しそうに話す女の子たちとは裏腹に私の胸はバクバク！


夏祭りを誘う理由はこ、告白のため！？

思いもよらない考えに思わず赤面する。

もしかして上杉君が私を誘った理由も…？




そこまで考えてふるふると頭をふる。


それは自意識過剰にもほどがあるでしょ！


絶対それはないに決まってる。





でもなぜか絶対のとこでなぜか胸がずきっといたむ。




え…？





何これ？



胸を抑えてみるけど何もない。





…ダメ、さっきのことは忘れよう。


頭が変になりそう。



いったん深呼吸して気持ちを落ち着かせる。


よし。





それにしても…

みんなすごいなぁ。


告白なんて、なんでできるんだろう。

わたしなんか絶対無理。




だって…

私にはそんな勇気もないし。

…相手もいないし。





なのになんでこんなに胸が変なふうにひっかかるの？



今日どうしちゃったんだろう。



夏バテかな。

頭は変だし、胸はずきってするし、なんだかまあとにかく変！




このまま上杉君に会うのも心配な気もするけど。


来ちゃったししょうがないよね。



そんなことを考えていると…



いつの間にか私は会場についていた。




あ、でも結構早めについちゃった。

時間つぶす前に集合場所確認しとこ。





そう思い、集合場所に向かうと…





「あれ？彩？」





聞きなれた声が私を引き留めたのだった。

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