ヒャクジュウイチ ページ22
劇はおかしい方向に走りながらも終わりを告げた。
終わったあと、舞台裏でみんなでわらった。
これが青春なんだなってしみじみと思う
午後からは後半の人たちと店番を交代、私は着替えて待ち合わせ場所へと向かった。
「姉さん!劇での姉さんめっちゃきれいやったよ!!」
可愛い〜!褒めてくれるチーノ君と、その傍で鬱さんがロボロさんに羽交い締めにされている。
鬱さんはAちゃ〜ん!!と虚しい声を発している。
『ありがとう、チーノ君の劇は終わっちゃったの?』
「俺は文化委員やから、劇には参加せえへんねん。
主にプログラムの作成とかしとったから」
『そうなん?お疲れ様やね〜』
目線を少し私に合わせてくれていたチーノ君の頭を撫でると、チーノ君は照れたように笑った。かーわーいーいー
キュルル…とお腹が鳴って、空いた腹を満たしたくて、屋台をキョロキョロと見渡した。
イカ焼き、たこ焼き、唐揚げ、ポテト、たこせん、ホットドック、チュロス、豚汁…
ふむ…
『ホットドックとイカ焼きは絶対!豚汁も!!
全制覇目指す!』
「え…」
ロボロさんか、開放された鬱さんの困惑した声、振り向くと困惑した鬱さんが固まっていた。
「姉さんは別に少食じゃ無いですからね」
『いつも食べ過ぎちゃうから気をつけてんやけど…お腹すいてる時はマジでストップ効かんのよね』
金券で近くにあったイカ焼きを買いながらそう言う。
鬱さんは私がそんなに食べると思っていなかったからか少しだけ青ざめている。
「もしかして…ゾムの言うてた食害に笑顔で付き合ってくれる奴って…Aちゃん…?」
『私ですね』
言わずもがな私ですね。
肯定すればひえ…と情けない声を出す鬱さん、知っていたチーノ君とロボロさんは腕を組んでコクコクとうなずいている。
なんや、意外?
『そんな意外?』
「おん…だってAちゃんいつも弁当ちっちゃいし、ほっそいし…」
『それはただの育児放棄かな』
「あ…」
察してくれる子は好きよ。
イカ焼きを食べ終、次はホットドックやなと心の中で決めてチーノ君の手を引く。
『こっち行こう。ホットドック食べたい』
「はーい!」
チーノ君きみは本当に可愛いね、大好き。
「大先生、はよいくで」
「おー」
この時、着々と進められていくグラウンドに舞台を立てる準備に、私は気づくことなくご飯を頬張り続けた。
まさかあんなことになるなんて思っても見なかった。
いや…でも少しだけ、期待していたかもしれない。
私は唐揚げを頬っばった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1330人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サラミ - 一気読みさせていただきました!!最高です。ありがとうございました!! (2022年8月3日 10時) (
レス) @page30 id: 82adb6822c (このIDを非表示/違反報告)
ネミ - 読み終わった時めちゃくちゃ泣いました！本当に面白い作品をありがとうございます！弦生夏様のご活躍を願います！ (2021年8月27日 16時) (レス) id: 6a4c48ebc2 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - （続き）最高の時間でした。感謝してもしきれません。「視えてます」もこの作品の前に読みまして、間違いなく「勘違いすれ違い」が大好きになった原因は弥生夏様のお陰ですw 今後も応援させていただきます！最高の時間、ありがとうございました！ (2021年7月25日 19時) (レス) id: 9dbbda50e8 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 読了しました！完結おめでとうございます！勘違いから生まれるすれ違いが毎回濃くて面白くて、かと思えば私に無い面白い考え方が幾つも出てきて、展開も最高で飽きず、最後まで楽しく読めました！個人的に、この作品のお陰で気付けた自分の気持ちも幾つかあり、（続く） (2021年7月25日 19時) (レス) id: 9dbbda50e8 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 誤字の報告です。106の初めの方、「に聞くわない」じゃなく「気に食わない」じゃないですかね……？ (2021年7月25日 19時) (レス) id: 9dbbda50e8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：弥生夏 | 作成日時：2020年6月1日 21時
