ヒャクキュウ・時屋詩乃side ページ20
大嫌いなアイツの声が、嫌になる胸に刺さる。
友達なんて小学生みたいな事言って、マジモンのアホやん
私がそう思う間も、アイツはクソみたいな綺麗事を並べ始める。
『親にばっか気ぃ取られてたら』
ああうるさい
雑音に耳を背けるために手で覆う
『友達がくれる幸せにも気づかれへん!!』
どれだけ抑えても、入り込んでくる音
アイツは両手を耳から引き離して、私の頬を両手で抑えて眼の前で言う
『今掴める幸せのチャンスを取りそこねるな!!』
何よ…お前が説教すんじゃねーよ
何が幸せのチャンスや、クッセェしキメェ
私の脳裏を過るのは、小学校から私を支えてくれたあの子の笑顔、少し頼りない下がった眉にタレた目、私とは違うストレートの髪
あの子の笑顔に、どれだけ助けられて、癒やされてきたか
今ボロボロに流れる涙も、いつもあの子は、流れるのが終わるまで、側にいてくれた。
あの子の事、見えてなかったんやなぁ私
「っ私、幸せになれるんかなぁ」
答えの帰ってこない質問を投げかけると、アイツは花が咲くように笑って、責任の無いことを言う。
『なれるよ!私がなれたんやから!』
それでも、こんな幸せそうな笑顔で言われると、何も言えなくなる。
そんな時、ガラリと扉が開いた。
「せっ生徒会長!?」
逆光に照らされる生徒会長がそこに居た
時計を見ると、あの数分で劇が始まる。
涙を手で擦って拭い取ると、生徒会長に手を掴まれ止められた。
「目を擦るな、腫れるぞ。」
…顔がいいって腹立つわね…
私が黙っていると、生徒会長はニヒルな笑みを浮かべた。
王子の服が似合いすぎて逆に怖い。
「そう睨むな、今舞台の主役は我々だ。
目が腫れた主役など格好がつかないだろう
それに、せっかく綺麗な顔をしているんだ。
台無しにしてくれるな」
…これが魔性か
「はぁ…女ホイホイになるわけね」
ボソリとつぶやいたその言葉は、あいつには聞こえていたようで、吹き出した。
睨むと眉を下げてめをそらす
「行こうか、そろそろ時間が間に合わない。」
先導する生徒会長に付いていき、出番がはじめからある私は二人に見送られる。
その時、生徒会長に囁かれた
「先程の君の主張は実に良かった。
言っておくが俺が口説くのは興味のある人間だけやからな、勘違いするな。」
ぜんっぶ聞かれてたぁ…!!!
こうなりゃヤケや!!
私は舞台に足を踏み入れた。
親なんて、どうでもいい。
私は、私のやりたいようにやる。
それができる意志が、私にはあるから
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サラミ - 一気読みさせていただきました!!最高です。ありがとうございました!! (2022年8月3日 10時) (
レス) @page30 id: 82adb6822c (このIDを非表示/違反報告)
ネミ - 読み終わった時めちゃくちゃ泣いました！本当に面白い作品をありがとうございます！弦生夏様のご活躍を願います！ (2021年8月27日 16時) (レス) id: 6a4c48ebc2 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - （続き）最高の時間でした。感謝してもしきれません。「視えてます」もこの作品の前に読みまして、間違いなく「勘違いすれ違い」が大好きになった原因は弥生夏様のお陰ですw 今後も応援させていただきます！最高の時間、ありがとうございました！ (2021年7月25日 19時) (レス) id: 9dbbda50e8 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 読了しました！完結おめでとうございます！勘違いから生まれるすれ違いが毎回濃くて面白くて、かと思えば私に無い面白い考え方が幾つも出てきて、展開も最高で飽きず、最後まで楽しく読めました！個人的に、この作品のお陰で気付けた自分の気持ちも幾つかあり、（続く） (2021年7月25日 19時) (レス) id: 9dbbda50e8 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 誤字の報告です。106の初めの方、「に聞くわない」じゃなく「気に食わない」じゃないですかね……？ (2021年7月25日 19時) (レス) id: 9dbbda50e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弥生夏 | 作成日時：2020年6月1日 21時
