キュウジュウイチ ページ2
ショッピ君のご両親に気に入られた私は、二人からパパ・ママと呼ぶよう言われたのは昨日
そして今日、私は刑務所へと来ていた。
証拠も証言も揃っていたし、父自身も否定をせずに認めたから、直ぐに逮捕につながった。
だから、面会に来たのだ。
ショッピ君一家には、外で待っていてもらっている。
一人刑務官に連れられて、面会室まで来た。
コンコンとノックする音が、音が無い廊下に響く。
がチャリと扉を開けると、幼い頃からずっと見てきた父の顔が見えた。
『…お父さん』
また、父と呼ぶなと言われるだろうか
また、暴言を吐かれるだろうか
そんな不安が私の中を駆け巡る。
でも、返された言葉は、それら全てを裏切った。
「A…すまなかった。」
『え…?』
謝られると思っていなかった私は、父に聞き返す。
用意されたパイプ椅子に腰掛け父の前に座った
父は懐かしい優しい声色で私に言葉を発する。
「俺は、どうかしとった…。」
父は昨日と今日で、カウンセラーに治療を施されたらしい。
治療と言っても、話を聞いて、現実に目を向けさせる事
「愛美は浮気してた、俺を、裏切ってた…
でも、嫌いになれんかった。
愛美によく似たお前を、愛美に重ねて、彼奴の影を追いかけて
お前を酷い目に合わせてもうた。」
目を伏せて、心底後悔したように話す父の姿は、見たことが無くて
昨日まで私を虐げていた人は、弱々しく変わり果てていた。
「昨日捕まってから、ぺいんとって刑事にお前の話を聞いてん
後輩の子の家族が歓迎してくれたんやな
…ほんまごめんな
俺は父親の役目を、一つも果たせなかった。
俺の事は忘れて、幸せになってくれ」
今にも壊れそうな笑顔でそう言ったお父さん
お父さんが優しかった頃の思い出が、頭の中に流れ込んでくる。
涙が溜まって、ボロボロ落ちる。
『っ…いやや、いややぁ!
忘れへん!ずっと待っとく!
私っ、お父さんの事好きやもん!!
また頭撫でてや!また手繋いでや!』
わんわんと泣きじゃくるA、今まで子供のように接せなかった分、子供のように駄々をこねた。
「A…」
『私ね、お母さんに聞かされてた。
お父さんと結婚できて幸せだって、でも、幸せすぎたって
幸せすぎて何が悪いのかわかんない
私も幸せになりたい!
私もいつか結婚して、お父さんとお母さんみたいに愛し合いたい!
だから、結婚式でバージンロード一緒に歩いてよ!!
私待ってるからぁ!!』
Aは部屋を飛び出してっ行った。
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サラミ - 一気読みさせていただきました!!最高です。ありがとうございました!! (2022年8月3日 10時) (
レス) @page30 id: 82adb6822c (このIDを非表示/違反報告)
ネミ - 読み終わった時めちゃくちゃ泣いました！本当に面白い作品をありがとうございます！弦生夏様のご活躍を願います！ (2021年8月27日 16時) (レス) id: 6a4c48ebc2 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - （続き）最高の時間でした。感謝してもしきれません。「視えてます」もこの作品の前に読みまして、間違いなく「勘違いすれ違い」が大好きになった原因は弥生夏様のお陰ですw 今後も応援させていただきます！最高の時間、ありがとうございました！ (2021年7月25日 19時) (レス) id: 9dbbda50e8 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 読了しました！完結おめでとうございます！勘違いから生まれるすれ違いが毎回濃くて面白くて、かと思えば私に無い面白い考え方が幾つも出てきて、展開も最高で飽きず、最後まで楽しく読めました！個人的に、この作品のお陰で気付けた自分の気持ちも幾つかあり、（続く） (2021年7月25日 19時) (レス) id: 9dbbda50e8 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 誤字の報告です。106の初めの方、「に聞くわない」じゃなく「気に食わない」じゃないですかね……？ (2021年7月25日 19時) (レス) id: 9dbbda50e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弥生夏 | 作成日時：2020年6月1日 21時
