さんじゅうはちわ 青視点 ページ39
「君はどうしたい？」
Aが家を出て少し経った後、幾つかの問答の末にAの母は俺に一言、選択肢を与えた。俺は目を伏せて考える。脳裏に蘇るのは酒に溺れ、葉巻を吸う母の姿と、父が出て行く前の、幸せな家庭。けれどもう、あの頃の父と母はいない。
父が一体どこにいるやもわからない中、自分の事を育ててくれた母は壊れた。
それは俺のせいだ。俺がもっと頭が良くて、しっかりしてて、母を守れたなら、今は変わっていただろうか
己の握りしめた拳が見える。幼い頃と変わり、骨張った女性より大きな手、この成長した手で、母の手を握ったことは無い。
……
「俺は、昔の母さんに、戻って欲しい…‼︎
無理なことかも知らんけど、もう一回、
母さんと、手ぇ繋ぎたい…‼︎笑い合いたいっ…‼︎」
ボロボロと涙が溢れた。すると、頭が重くなって、ガシガシと乱暴に撫でられる。それが離れるとボサボサになった頭に手をやりながら俺はAの母を見上げた。
「無理やない！うん、君がその気なら明日、あの子も連れて一緒にあなたの家へ行きましょう。
私が君のお母さんを叱ってあげる！」
ニッと歯を見せて笑う彼女は、どことなく娘の笑顔に似ている。当たり前だ、親子なのだから……
あの子も、俺も父親がいない、けれど、こんなにも生活が、日常が違うのは、どうしてだろう。
…羨ましいな……。
「そう言えば君名前なんだっけ」
不意に聞かれ、ハッとする。そう言えば名乗ってなかったことを思い出す。泊まらせてもらって手当てもしてもらったのに名乗ってないなんて不躾すぎる
「す、すみません！僕鬱って言います。自己紹介遅れてしまって申し訳ないです。」
「気にすんな気にすんな！そんなことぐらいで怒りゃしないよ！」
笑顔が眩しい。彼女があんなにもはつらつに育ったのは、母のこの眩しい笑顔の元で育ったから、明るい愛情は彼女を優しく、明るく育てた。
なんて暖かい。
今まで感じることのできなかった母親の愛を、今やっと、感じることができた気がした。
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まる(プロフ) - パスワード解放されてらっしゃる…！久々に見に来たら続編間近！！！嬉しすぎます！！パス、実はボードを見て以前試しましたが普通に開かず()なのでまた見られて嬉しいです！！更新楽しみにしています！！！ (2023年5月6日 13時) (
レス) id: 33402943a7 (このIDを非表示/違反報告)
夜露姫(プロフ) - あああ好きですううううう……もう何もかもが好きです…更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2023年5月4日 23時) (レス) @page47 id: c00d592dea (このIDを非表示/違反報告)
ここなつぁ。 - 本当にもう好きです！天才かよ。動物も可愛いしd!の皆さんの反応もかわいくて本当にもう…。応援してます。頑張ってください！ (2023年5月4日 11時) (レス) @page45 id: e540fc95b9 (このIDを非表示/違反報告)
春嵐 - この作品すごい好きです!!毎日更新を楽しみにしてます!!応援しています!! (2022年12月18日 18時) (レス) id: 5a52c0f3ec (このIDを非表示/違反報告)
ビニール袋 - ぎゃあああああああああぎゃんかわああああああああああああ (2022年12月1日 18時) (レス) @page44 id: dc34629a9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弥生夏 x他1人 | 作成日時：2021年5月31日 23時
