ひゃく ページ31
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僕は昔、ピエロのような男の子に会ったことがある
その男の子と会ったのは、A国から逃亡してから数日の頃だった
ボロボロの体で森をさまよっていたらどこかの町へ出た
そこでやっていたサーカス団、そこにいた子
ボロボロの僕を見て、駆け寄ってきてくれた優しいその子は、食べ物や洋服を分けてくれて
その子を拒んでしまったにも関わらず、いろんな芸を見せて、落ち着かせてくれた
少しして仲良くなり、男の子と話している内に、2人とも能力を持っているという共通点を見つけた
当時、僕は11歳くらいかな
若い内に能力が開花してるのは珍しいから、能力が開花してる同士の友達なんてなかなかない体験を短い間、楽しんでいた
あの時は心から笑いあえて、凄い楽しかった
ある日、男の子は笑わなくなった
どうやら友達の時計を盗んで虐められたんだとか
でも男の子は「やってない」って言ってた
友達…A君としよう
A君は時計の修理のために時計屋へ預けていた
しかし、時計屋へ受け取りに行ったら「もう渡した」と
でも時計の持ち主は受け取ってない
時計屋は「A君だったから時計を返した。あぁ、なぜか丸い眼鏡を着けていたけどね」と証言した
この街でA君になれる可能性があり、丸い眼鏡を着けているのはあの子だけ
彼の能力は、人に変装することが出来た
盗んだとしたらその子だけだと
虐められて辛いのは分かっていた
けど、良く笑う子だったのにあまり笑わなくなったのがなんだかモヤモヤして
純粋に聞いてみた
『僕と話すのは楽しくない?』
「…楽しいよ」
次の日から、男の子は嘘臭い笑みを浮かべるようになった
あぁ、僕のせいで無理して笑うようになってしまった、と後悔したまま彼と一緒にいる日々が続いた
そして、僕が町を出るとき
『ねぇ、ここは楽しい?今、幸せ?』
「…うん」
せめて、償いのつもりで「救ってあげる」と言うように聞いた
辛いと、助けてくれと言われたら一緒に町を出るつもりだった
男の子とは親友だったから、なんでも話してくれると思っていた
…でも、最後まで嘘臭い笑みで、本心じゃないような言葉で見送られてしまった
彼は能力で姿を偽るんじゃなく、心も偽ってしまったんだと気付いたのは、町を出てからだった
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チーノさんを見てこんな昔話が一瞬で頭をよぎった
社交辞令と言ったように僕へ向けられる笑みは、能力で変装した姿でも嘘臭い
あーあ、僕も幹部になったのにな
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コミュ障のアホの子 - 白米さん» コメントありがとうございます!だいたい毎週水曜日に更新しようと思ってるので、読んでいただけると嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2021年12月20日 21時) (レス) id: 7d5c2c487a (このIDを非表示/違反報告)
白米 - 以外がはい、もう、好きですね。()更新って・・・大変ですもんね・・・程々に頑張ってください! (2021年12月19日 22時) (レス) @page35 id: 918b15eb68 (このIDを非表示/違反報告)
コミュ障のアホの子 - 或芙さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2021年12月4日 21時) (レス) id: 7d5c2c487a (このIDを非表示/違反報告)
或芙 - 応援しております。更新頑張って下さい (2021年12月3日 7時) (レス) id: 46e6433036 (このIDを非表示/違反報告)
コミュ障のアホの子 - シュネーさん» わぁ〜!好きとか、面白いって言ってもらえるなんて…凄い嬉しいです!ありがとうございます!!!少しずつ更新していくのでゆっくり待っててもらえると嬉しいです!(無理せずに見てくださいね!)コメントありがとうございます!!! (2021年10月17日 18時) (レス) id: 7d5c2c487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コミュ障なアホの子 | 作成日時:2021年4月18日 2時