俺らに希望のヒカリを。:: 2 〜BEST〜

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side.Kota



『慧に鏡を見せちゃいけない』


『なんで？』


『慧は自分の顔を知らないまま生きていないといけないんだ。きっと鏡なんて見てしまったら』


宏太「死んで……しまうから……」


地面に破片が落ちてることなんてなんも気にせず、膝から崩れ落ちた。


慧はガラスよりも脆い。


ずっとずっと脆い存在だったんだ。


櫻井くんに言われた通り、俺は慧が鏡を見てしまわないように毎日お風呂を共にして


洗面台の鏡も隠して見せないようにして来たのに。


忘れてたんだ。自分の事ばかりだったんだ。


俺は……


慧「うそだ……うそだっ、」


慧を守ることなんて、出来るはずがなかったんだ。


雄也「やめろよ！慧！」


大きな声で怒鳴った高木の声なんか、今の慧には聞こえてない。


雄也「薮くんもしっかりしてよ！慧くんがっ、ねぇ！」


この状況で高木は何も出来ない。


義足のない高木は動きたくても、ガラスまみれの床を歩くことなんてできない。


だからといって俺だって動けない。


情けないのは俺も高木も一緒だ。


なんて、俺が言えることでもない。


目の前で大きな破片を持った慧が自分の顔を傷つけていようと、俺は


体を動かすことさえできない。


動けないってこういうことなんだ。


怖くて体が動こうなんてしてない。


慧の血が顔についた。


生々しい血の匂いが現実だと俺に教えてくれる。


あぁ、いっそこのまま


光「死ねばいいってか？ふざけんなよ。」


。

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