第194夜 誤解が解ける日はくるのでしょうか ページ47
「んふふっ!!」
思わず溢れる笑みを隠さずにはいられなかった。
「あっははは!! 生まれて初めて権力者に逆らってやった!! なんて清々しいんだろう!! 」
身体中から滴る血を止めようともせず笑う姿は異様に見えるだろう。
ーピィ…ー
(戻ろうよ…)
ーピィピィ!!ー
(助けようよ!!)
あ? うるさいなぁ…。
助けろって、んふふふ…!!
「あ〜んな出血だったんだよ? 今さら戻ったって死んでるよ!! 手遅れ手遅れ〜 」
僕の隊員は苦しんで死んだのに、あいつはあんまり苦しんでないってのにはイラつくけど。
そんな思考のなか背後から聞こえる声。
ーピィー
(ダメよA様)
ー ピィピィー
(手遅れなんて言わないでくださいよ)
隊員の声が聞こえた気がして、バッ!! っと振り返ったけれど。
そこに僕の求める人はいなくて…。
ーピィ…!!ー
(さぁ…!!)
とん…、と誰かに背を押されたかと思えば。
ぐいっと手を引かれる感覚。
その引かれた方向はシバのいるところ。
「なっ…!! 僕に助けろって言うの!? いい加減なことしないで!!この怨みは永遠に忘れない…!! 助けてなんてやるものか、自業自得なんだから!!」
戦地で叫ぶ僕を構うことなく、誰か分からない手に引かれてシバの元に戻ってきてしまった。
なんなの…。
僕、おかしくなっちゃったの?
恐る恐るシバの方を見れば。
「抱いて、あげれなくて…ごめんね…」
それを聞いた瞬間、僕は悟ってしまった。
『抱きしめて…、あげたかったなぁ…』
隊員だった彼女も、シバも。
ただ、愛する子を守る1人の母なのだ。
「アラジン…、アラジン…」
子供の名前だろうか…?
「たす、けるよシバ…。助けるから!!」
なけなしの魔力を彼女に注ぐ。
傷口も、胎児に死傷が及びそうなところ中心に塞いでいく。
追いつかないところは布で塞ぎたい、布がほしい…!!
「どこか…、ぁ、見つけた!!」
少し離れたところに発見し、取りに走る。
そして戻ろうと駆け出そうとした時だった。
「ごめんシバ…間に合わなかった…!!」
ウーゴと種族達の姿が目に入って、思わず物陰に隠れる。
そしてウーゴがお腹から胎児を取り出し、シバから名前を聞いた後。
「A…」
「え、A? Aに会ったの!?」
「A…。なんで…こ…んな…、たの…?」
「Aが、君を…?」
ドキッと心臓が跳ね上がる。
「そんな、Aも裏切るなんて…」
それは、悲しいまでの誤解。
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千年彗星(プロフ) - 夢雪さん» 読んでいただきありがとうございます! そして泣いてくださるなんて…! アルマトラン編を好きと言ってもらえて嬉しいです、ありがとうございます! (2018年3月25日 20時) (レス) id: c15a2aa7e8 (このIDを非表示/違反報告)
夢雪 - 悲しすぎるです!(´;ω;`)ウッ…すごく泣きました。無意識に気づいたら泣いてました。アルマトラン編私好きです。 (2018年3月25日 16時) (レス) id: a2e26e90a4 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - ティナさん» だいぶ落ち着いてきました(*^^*) 声をかけてくださり感謝感謝です!! それに加え何回も見てくださってるとは…!! ゴールデンウィークあたりにはできると思うのでそれまで待っていてくださると嬉しいです(*^^*) (2017年4月28日 12時) (レス) id: 5483d583eb (このIDを非表示/違反報告)
ティナ(プロフ) - お久しぶりです! 落ち着いてきましたか? 何回も繰り返し見てます! 更新楽しみにしてます! (2017年4月27日 21時) (レス) id: c9a6aed029 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - マロンクリームさん» コメントありがとうございます!! だんだん落ち着いてきたので更新もそろそろできると思います! これからもよろしくお願いします(*^^*) (2017年4月23日 0時) (レス) id: 5483d583eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千年彗星 | 作成日時:2016年6月25日 22時