第172夜 君の鼓動が聞こえる ページ25
「みんな聞いてくれ!」
荒地にソロモンの声が響きその声に反応し皆が顔をあげる。
「すぐにダビデを追わねば。奴らを野放しにすればさらに仲間が襲われる」
これ以上、大切なものを失うのは嫌だった。
そのためには動かなければいけないのに、なのに…!!
「…っ」
目の前にいるライを置いていけなくて。
せめて…!! せめて触れてあげたかった!!
生と死の境目で伸ばされた手を!!
なのに、そんな願いすら叶わなくて。
結局ライは!! 死ぬ時に人の温かさにすら触れられなかった…!!
「A、俺たちも行こう」
ふと、顔をあげれば皆は既に向かったみたいで。 抱きすくめられ、半ば無理矢理立たされる。
嫌に冷えてしまった手を握られ行こうとした差中、
カラン…。
と、何かが落ちる音が。
「…、!!」
振り返ればそこには、銀色に青い宝石がついたライの杖で…。
『A姉、いざとなったら俺が助けてあげるから!!』
偶然かもしれないそれが。
僕にはどうしてもライが『前に進んで!!』と言っているようにみえて。
あぁ、そうだねライ。
僕にはまだ、守るべきものが沢山あるよ。
君は今を生きろと言ってるんでしょ?
杖を拾い上げ血を拭い懐に仕舞い込む。
「ライ、ありがとう」
最後の最後まで、君に勇気を貰ってしまった。
その勇気、今から存分に奮ってくるから…!!
「A」
出された手を握り締め、僕らは再び飛び立った。
「ふうむ…。久しぶりだな」
大聖堂府にて待機する者たちの目の前。
主に七魔導士団の前に現れたのはダビデ老。
「ここにいる皆は死守する!! そしてあの人も、もう2度と殺させるような真似はさせない!!」
「…。やはり助けられたのだなレイメスに」
生きている理由が明確になり、彼らに向けて神杖が振り下ろされようとした時だった。
「僕の隊員に手をだすな!!」
バッと目の前に立ちはだかった僕に、振り上げられた神杖がピタリと止まる。
「おぉ!! やはり生きていたのだな」
「胡散臭いこと言うな!! 僕たちが助かること知ってたくせに…さ!」
目の前で神杖を振り上げれば、ガキンッとそれらがぶつかり合う音が響く。
「ふっそうだな。お前には何千年後の世界のために居てもらわなければ困るのだ」
そう言い残すとソロモンの元へ行くダビデ。
そしてソロモンを抱き込むように腕を広げ、
ドオオ!!
「ソロモン!!!」
爆発に巻き込まれたソロモンの身体を必死な思いで受け止める。
助けなければ。
君の鼓動が聞こえるうちに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 386人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
千年彗星(プロフ) - 夢雪さん» 読んでいただきありがとうございます! そして泣いてくださるなんて…! アルマトラン編を好きと言ってもらえて嬉しいです、ありがとうございます! (2018年3月25日 20時) (
レス) id: c15a2aa7e8 (このIDを非表示/違反報告)
夢雪 - 悲しすぎるです!(´；ω；｀)ｳｯ…すごく泣きました。無意識に気づいたら泣いてました。アルマトラン編私好きです。 (2018年3月25日 16時) (レス) id: a2e26e90a4 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - ティナさん» だいぶ落ち着いてきました(*^^*) 声をかけてくださり感謝感謝です!! それに加え何回も見てくださってるとは…!! ゴールデンウィークあたりにはできると思うのでそれまで待っていてくださると嬉しいです(*^^*) (2017年4月28日 12時) (レス) id: 5483d583eb (このIDを非表示/違反報告)
ティナ(プロフ) - お久しぶりです！ 落ち着いてきましたか？ 何回も繰り返し見てます！ 更新楽しみにしてます！ (2017年4月27日 21時) (レス) id: c9a6aed029 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - マロンクリームさん» コメントありがとうございます!! だんだん落ち着いてきたので更新もそろそろできると思います! これからもよろしくお願いします(*^^*) (2017年4月23日 0時) (レス) id: 5483d583eb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：千年彗星 | 作成日時：2016年6月25日 22時
