第170夜 君の成長が見たい ページ23
「アルバ、大丈夫か?」
そんなソロモンの声にハッと我に返る。
そして声をかけられた本人は、
「ええ、ソロモン王よ。私はこの時のために、あなた様に仕えてきたのですから」
ニコっと笑みをたたえるアルバ。
ーこの時のためにー
何故だかそれが、必要以上に耳に残る。
そんな思考を遮るかのように。
ザザッ。ザザッと無機質な音が鳴る。
そして映し出されたのは。
『ママー!! ママー!! こわいよー助け…』
紛れもない僕らの本拠地であり…。
「一体どういうことなんだ!?」
「ソロモン!! あそこにはセッタしかまともに戦える魔道士はいないよ!! 」
ライにはありったけの魔法を詰め込んだけれども神杖相手では話が違ってくる。
「今すぐここを出よう!!」
「無理だよイスナーン!!」
「なんでだよ!?」
外には防壁が張ってあり、解除しない限り脱出不可能。
「俺たちははめられたんだ…。仲間が死ぬのをここで黙って待ってろってことだよ!!」
『A姉、魔法教えてよ!』
『A姉、僕が強くなったら守ってあげるね!!』
『A姉、生きててよかった!! 』
『A姉、生きて帰ってきて!! 』
『A姉、いってらっしゃい』
僕と同じ金色の髪を揺らしながら、そう言ってくれた彼の声が耳に届く。
悪戯して怒ろうにも悪知恵で逃げおおせるわ。突然、後ろからタックルかましてくるそんなバカな子。
それでも、血は繋がっていなくとも。
大切な家族…。
「この都市のシステムに侵入し、あの壁を消す。あれも防壁魔法である以上、解除式が絶対に存在している」
「やるしかねーんだ!! 俺とおまえで、みんなを助けるんだ!!」
「俺と…ソロモンで…?」
「あぁ、Aだっている!!」
ライ、ライ。君のこれからが見たいよ。
「A…?」
7年間、君の成長を目にできなくてどれほど悔しかったことか。
「ウーゴ、やろうよ!! 」
「でも、俺…」
「大丈夫!!」
そしてソロモン、僕、ウーゴの順で並び解除をしていく。これも昔からの並び順。
ねぇ、ライ。
君はこれからどんな人生を歩んでいくんだろう。
どんな人を好きになって、どんな人と結婚するのかな?
大人になっていく君を、一番側で見守っていたい…。
「「「解けた!!」」」
「あぁ、ありがとうウーゴ、ソロモン、A!」
「行こう基地へ!」
強く僕の手を握り飛び立つソロモン。
不安を紛らわすかのようにその手を握り返す。
ライ、皆、今行くから。だからお願い。
生きてて…!!
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千年彗星(プロフ) - 夢雪さん» 読んでいただきありがとうございます! そして泣いてくださるなんて…! アルマトラン編を好きと言ってもらえて嬉しいです、ありがとうございます! (2018年3月25日 20時) (レス) id: c15a2aa7e8 (このIDを非表示/違反報告)
夢雪 - 悲しすぎるです!(´;ω;`)ウッ…すごく泣きました。無意識に気づいたら泣いてました。アルマトラン編私好きです。 (2018年3月25日 16時) (レス) id: a2e26e90a4 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - ティナさん» だいぶ落ち着いてきました(*^^*) 声をかけてくださり感謝感謝です!! それに加え何回も見てくださってるとは…!! ゴールデンウィークあたりにはできると思うのでそれまで待っていてくださると嬉しいです(*^^*) (2017年4月28日 12時) (レス) id: 5483d583eb (このIDを非表示/違反報告)
ティナ(プロフ) - お久しぶりです! 落ち着いてきましたか? 何回も繰り返し見てます! 更新楽しみにしてます! (2017年4月27日 21時) (レス) id: c9a6aed029 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - マロンクリームさん» コメントありがとうございます!! だんだん落ち着いてきたので更新もそろそろできると思います! これからもよろしくお願いします(*^^*) (2017年4月23日 0時) (レス) id: 5483d583eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千年彗星 | 作成日時:2016年6月25日 22時