第161夜 今度こそ ページ14
『今度こそ助けるから! 死ぬなよA』
酷く懐かしく、優しい声が記憶の底から蘇る。
必ず助けるから…。生きてほしい、なんて。
「A。ねぇ、聞いてる?」
「ん?聞いてるよシバ」
何時ものシバの惚気を、買い出ししながら聞く。
本当にソロモンの事好きだね〜! 僕に泣きついてきてたのが嘘みたいだよ…。
まぁ、そんなシバも可愛かったけどね!!
「それでね! その時ソロモンが大丈夫かって言ってくれたの。初めて会った時は、この人最悪っ!! て思ったけど…。今は…」
「はいはい。大好きなんでしょ?」
「もうっ!! そんなはっきり言わないでよ!!」
バシバシ!!
いっ痛い痛い!!背中を叩くんじゃない。たまに的外れて頭叩いてるからシバ!!
見上げれば、痛いほど眩しい太陽。ずり落ちてきた袋を両手で抱え直せば、中に入っている果物が光を反射させ光る。
「私のお腹の子も、ソロモンに似てくれたらいいな〜」
「ふふっ。僕はシバ似がいいな、ソロモンみたいなバカには似て欲しくない」
彼のせいで僕がどれほど大変な目にあったことか…。守られて育てられたから喧嘩なんて皆無なのに、変なやつに絡まれて。
ボコボコにされて帰って来た半泣きのソロモンを慰めて。今後そんな事がないように僕が喧嘩してあげたんだからね!!
「ねぇ、A」
「ん?」
隣を向けば少しだけ嬉しそうな顔をしたシバ。
「ソロモンと対等に渡りあってくれるのは貴女だけよ。ありがとうA」
ねぇ。シバ…。
僕は君に言わなければいけないことがあるんだ。
それはソロモンとアルバ、ウーゴ。そして僕の4人。加え、レジスタンスの根源メンバー数人しか知らない秘密。
あの時、僕が何か一言言えてれば。
彼は…。
きっと…。
「王にならずにすんだかも…」
その時の光景が鮮明に脳裏に映る。
それは明らかなる事実、後悔。
そして…、
「…っ!!」
ズキリと左胸に走る鋭い痛み。耐えきれずその部位の服をギュッと掴めば、抱えてた袋が落ち果物が散らばる。
「A? A!! どうしたの!?」
近くで叫んでいるはずなのに、酷く遠くに感じられる彼女の声。
「はぁ…っ!! 」
たまらず地面に倒れ込めば、ボヤけた視界に映る先ほどの果物が…。
「誰か!! ソロモン、ソロモン助けて!!」
悲痛な叫びを聞きながら、意識はズブズブと沈んでいく…。
『死なせないからな!!』
『はぁっ!! うっ!!』
『今度こそ、助けるって決めたんだ!!』
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千年彗星(プロフ) - 夢雪さん» 読んでいただきありがとうございます! そして泣いてくださるなんて…! アルマトラン編を好きと言ってもらえて嬉しいです、ありがとうございます! (2018年3月25日 20時) (レス) id: c15a2aa7e8 (このIDを非表示/違反報告)
夢雪 - 悲しすぎるです!(´;ω;`)ウッ…すごく泣きました。無意識に気づいたら泣いてました。アルマトラン編私好きです。 (2018年3月25日 16時) (レス) id: a2e26e90a4 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - ティナさん» だいぶ落ち着いてきました(*^^*) 声をかけてくださり感謝感謝です!! それに加え何回も見てくださってるとは…!! ゴールデンウィークあたりにはできると思うのでそれまで待っていてくださると嬉しいです(*^^*) (2017年4月28日 12時) (レス) id: 5483d583eb (このIDを非表示/違反報告)
ティナ(プロフ) - お久しぶりです! 落ち着いてきましたか? 何回も繰り返し見てます! 更新楽しみにしてます! (2017年4月27日 21時) (レス) id: c9a6aed029 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - マロンクリームさん» コメントありがとうございます!! だんだん落ち着いてきたので更新もそろそろできると思います! これからもよろしくお願いします(*^^*) (2017年4月23日 0時) (レス) id: 5483d583eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千年彗星 | 作成日時:2016年6月25日 22時