ネコになるヒト、ヒトになるネコ

フランキー ページ19

沢山歌って喉のかわいたAは、のろのろと歩きながらキッチンに向かう。サンジに水をもらおうと考えていると、かすかにコーラの匂いがする。釣られように匂いを辿っていくと、予想通りフランキーがコーラを飲んでいた。


｢コーラ？｣


　隣に座ると、｢Aも飲むか？｣と蓋の空いたコーラ瓶差し出される。頷いてありがたく受け取って、一気に傾ける。


｢良い飲みっぷりじゃねェか！｣

｢コーラ好き！｣


　誰に止められることなく好きなだけコーラが飲めることが嬉しくなり、フランキーの周りに置いてあったコーラを次々と空にしていく。幼い頃ルフィたちと過ごしていただけあり、Aは食べることがかなり好きだった。


｢飲みすぎじゃねェか？｣

｢だって、おいしい｣


　ごくんと五本目のコーラを飲み終えると少し引き気味なフランキーの視線を感じて、六本目に伸ばした手を引っ込めた。人間の姿だと猫のとき以上に食べられる量も物も増えた分食べすぎてしまう気がして、気をつけようと密かに考える。きっとサンジの作った料理を前にしたらその考えもすっぱりなくなってしまうのだろうけれど。


｢Aはほんと炭酸好きだよなァ｣


　いつの間にか隣にいたルフィはそう言って、Aに六本目のコーラを差し出す。
　渡されてしまったからにはしかたないと受け取って、Aはしゅわしゅわとする感覚を楽しんだ。


｢でっけェゲップ出るんじゃねェか？｣

｢Aはゲップなんかしねェ！｣

｢なにそれ｣


　なぜかムキになったルフィを横目に、六本目のコーラを飲み干す。ルフィはたまにAにゆめを見ることがある。何を根拠に何を基準にしているのかはわからないが、ルフィの中にAの像があるらしい。Aは決まってばっさりと否定するのだが。


｢フランキー、ごちそうさま｣


　べったりとくっついたルフィを気にすることなく空の瓶を回収していると、また飲みのに来いよと笑われ、Aは大きく頷いた。

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