きみを連れていきたい【紫】 ページ27
人外パロシリーズ
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
カタカタとキーボードを無心で叩く。フロアには既に人の気配は無く、1人パソコンに向かっていた。あと少しで終わりという希望と仕事を押し付けてきた同僚への怒りを原動力にしてひたすら集中した。
そして数十分後、よくやくキリのいいところまで終わりデータを保存してパソコンの電源を落とす。オフィスを後にするとすっかり空は暗くなっており、夜空に月が浮かんでいた。
……すっかり遅くなっちゃったな。
家にいる同居人を思い浮かべながら急ぎ足で帰路につく。遅いって怒られそうだなぁ。仏頂面が目に浮かぶ。
「ただいま〜」
自宅のドアを開けて家の中へと入る。リビングから明かりは漏れているが返事はなかった。廊下を進みリビングの扉を開けるとこちらに背を向けてソファに座る人の姿。あー今は"そっちの姿"なんだね。
「ただいま」
「…………遅い」
くるりとこちらを振り返った彼は低い声で一言呟く。普通の人間には無い"尻尾"が不機嫌そうにぺし、ぺし、とソファを叩いていた。予想通りの反応に思わず笑ってしまうと、じとりと睨まれる。
彼は見ての通り人間では無い。
猫又という妖怪らしく、人間の姿に化けられるんだそう。彼との出会いは数ヶ月前。その日も残業で帰りが遅くなった日だった。帰り道に猫が倒れていて、しかも雨も降り始めていたものだから放って置けなくて自宅に連れて帰った。熱心な看病の甲斐あって自力でご飯を食べられるまでには回復した。さて、この子どうしようかなと思っていた矢先だった。
「……おい、」
朝起きたらイケメンの顔がドアップで映って、思わず悲鳴を上げた。彼はうるさ、と眉を顰める。ただ、よく見たらその男の人の頭には耳が生えているし、背からは尻尾が見える。そしてその尻尾は2つに割れていて、普通の尻尾とはちょっと違った。いや人に尻尾が生えてる時点でおかしいんだけれど。
「え、と…だれ……ですか？」
「お前が連れ込んだんだろ」
そんな人聞きの悪い、と思いつつ非現実的な出来事が起こりすぎて事態をあまり飲み込めていない私は曖昧な返事しかできなかった。聞くと昨日私が助けた猫なんだそう。彼は猫又という妖怪のスマイルと名乗った。
「責任とって面倒見ろ」
「は、え！？」
それから色々あって結局ウチに住まわせることになった。猫の姿になった彼に力なく「にゃあん」と鳴かれて思わずイエスと頷いたとか決してそういうんじゃないです違います。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 394人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「WT」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽんこつらーめん(プロフ) - あいりすさん» コメントありがとうございます。励みになります。 (2023年4月16日 20時) (
レス) id: 458486b0e2 (このIDを非表示/違反報告)
あいりす(プロフ) - 最近とても更新してくれて嬉しいです！これからも頑張ってください!! (2023年4月14日 6時) (レス) id: 06d1bec9da (このIDを非表示/違反報告)
ぽんこつらーめん(プロフ) - あいりすさん» こちらが明記してなかったのですみません…。そのつもりでした。ただマフィアパロはいつか書きたいなとは思っていますのでもし時間ができれば頑張りますね。コメントありがとうございました。 (2023年2月18日 22時) (レス) id: 458486b0e2 (このIDを非表示/違反報告)
あいりす(プロフ) - ぽんこつらーめんさん» 何処かにかいていましたか!?そしたら申し訳無いです…。 (2023年2月18日 16時) (レス) id: 255513ac99 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんこつらーめん(プロフ) - あいりすさん» コメントありがとうございます。折角リクエスト頂いた所申し訳無いのですが一旦リクエストは1人1回までとさせて頂いております。申し訳ございません🙇 (2023年2月18日 15時) (レス) id: 458486b0e2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽんこつらーめん | 作成日時：2022年12月31日 20時
