ちびれんくん8

▽ ページ31

紫耀side

「れん、起きちゃった？」

廉「ん…」


目をこすりながら、座った廉をそっと抱き上げて

眠ってるメンバーと廉のご両親を起こさないように

静かにリビングに移動する。


「しんどいね」

廉「ん…げほげほっ…こほっ」


まだしんどさが抜けきってない廉。

俺に全体重を預けながら、苦しそうに咳き込む廉の背中を優しく摩る。


「大丈夫。大丈夫。しょうが傍に居るからね？」


ちょっとこのまま咳が続くと、喘息も出そうで怖いな。

そう思ったから、廉を抱っこしたままネプライザーを近くに置いておく。


廉「ごほごほっ…はぁっ、げほげほっ…」

「よしよし、苦しいな」


うん、発作が出ても苦しいだけだし

防げるんだったら、ネプライザー吸わせた方が良いな。


そう判断して、廉の口元に声を掛けながら

マスクを当ててスイッチを入れる。


「れん、怖くないからゆーっくり大きく息吸って〜」

廉「すーっ…けほけほっ」

「そうそう上手。吐いて〜」

廉「はぁっー…ごほっごほっ」

「上手に出来てるよ〜。もう一回やってみよっか。せーの＿＿」



＊




＊



＊



深呼吸を繰り返してると、ゆっくりと落ち着いてきた廉の咳。


「よく頑張ったね」


そう褒めながらスイッチを切って

ゆっくりとマスクを外す。


廉「ん、けほっ…」


まだ小さな咳は出てるけど、さっきみたいな

痰がらみの咳じゃないし、発作も心配なさそうだ。


廉「しょ…」

「ん−？どうした？」


廉を膝の上に乗せながら、マスクを除菌シートで拭きつつ

機械を次も清潔に使えるようにしてると

小さな俺を呼ぶ声が聞こえて

作業の手を止め、廉の声に耳を傾ける。


廉「パパとママ…いちゅ、お家帰るん？」


っ…


廉「いちゅ、っ…バイバイッ、？涙」


最後の方、廉の声は震えてて

その直後、ぼたぼたと大きな涙が溢れてくる。


「れん…」

廉「いややっ…ばいばい、嫌やぁッ…涙」


そうだよね、嫌だよね。

折角楽しい時間を過ごせてるんだもん。

誰だって別れは辛い。


特に今、幼くなってる廉なら尚更。


廉には言わなかったけど。

廉のご両親、後3日で帰らなきゃいけないんだ。


実はマネさんに頼んで、廉のご両親に連絡が付いたその日

元々居られる期間が短い事は、俺らメンバー全員知ってた


ご両親は凄く忙しくて…その合間を縫って

廉に会いに来てくださってる

廉のご両親も帰る日に廉が泣くことも承知の上


だから言わなかった…いや、言えなかったんだ。

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