東海簡易裁判 ページ47
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やぁどうもAだ。
り「おいてつや、これはなんだ?」
て「………っ!」
虫「はい!裁判でーす!」
虫さんが、両手で周りを制するようにして叫ぶ。
りょうくんが手にしている一枚の写真をきっかけに、東海簡易裁判は開廷された。
そこに写っているのはペチカことてつや。そして1人の女性。
スカイツリーの展望台にて、お互いとても楽しそうな表情を浮かべている。
まぁそれはさておき、問題なのはここからである。
虫「なんでオレンジの服着てないの?」
り「思いっきり違反してるぞこれは」
て「うぅ…事務所で全身オレンジで過ごした後、六本木ヒルズのトイレで私服に着替えて、そのままスカイツリー行ってました…ごめんなさい!」
り「やったなぁお前!」
なんと、てっちゃんがペチカ生活という十字架を投げ捨て、動画外で私服を着て過ごしていたのだ。
スカイツリーでデートするために。
虫「てつや被告、あなたはこの罪をどうお考えですか?」
て「俺は、こういう系の罰ゲームをちゃんとやらないのは非常に良くないことだと思っています…けど、今回は自分に嘘をついてでも…スカイツリーに行きたかった」
この事件の原因は、どうやら東京に憧れを抱きすぎたがゆえの心の弱さにあったようです。
なにごとも行き過ぎはよくないですね。
と「まぁでも、実は俺も知ってたんですよね」
「あ、そうなの?」
と「うん。でもてつや、スカイツリー行くの楽しみにしてたからさ、ここでばらすのは違うかなって思って…けど、すっぐばれた!」
え、としみつ優しすぎない?イケメンすぎん?
りょうくんなんて隣で死ぬほど楽しそうな顔してるよ?私もだけど。
虫「どんな罰が妥当だと思いますか?」
て「どのような罰でも受ける覚悟です…ごめんなさい!」
虫「しばゆーさん、どうですか?」
し「まぁお断りですね」
て「え、ごめんなさい断るってなに!?」
虫「なにか異議でも?」
て「…あの、ひとことだけ言わせてください」
てっちゃんが、急に声のトーンを落として静かにそうこぼした。
虫「なんですか?」
て「その写真って、そこのテーブルに置いてあったんですよね」
虫「はい、こんなばれやすいところに置くなよってりょうくんと言ってました」
て「そう!そこなんですよこの事件の最大のポイントは!」
なぜか急に元気を取り戻して立ち上がるてっちゃん。
その勢いで、顔を全体をおおっていた雪降る夜のペチカ色のフードがはらりとめくれた。
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作者名:V | 作成日時:2018年9月6日 0時