媚びうま選手権!〜としみつ編〜 ページ25
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【 サブチャン 】
先ほどの動画を編集しながら、最初に謝りにくるのは誰かなぁ、なんてのんきに考えていると。
と「…その動画の編集、お前の担当かよ」
一番手はとしみつでした。返事はせずに、黙々と編集を続ける(ふり)。
彼が腕組みをしながら私の隣に腰を下ろす。
と「あー…その、さぁ、悪かった、さっきは」
ほう、素直に謝るパターンか。珍しい。意外と反省しているのかもしれない。
と「ん、これ」
「…なに」
と「チョコミントアイス。買ってきた。好きじゃんお前」
視界の隅に映るコンビニ袋。…うん、そりゃ好きだけど。
でもなんか…なぜか心に響かない。なんでだ…?
と「おい、聞いてる?」
一段と低い声に思わずPCから顔を上げれば、眉間にシワを寄せて小難しい顔をしている彼。
…そうかわかった、こいつ、私より不機嫌な顔してやがる。なんでだよ。まぁチョコミントに罪はないからいただいておくが。
と「正直そんな怒るとは思わんくてさ…まぁお前が虫嫌いってのは知っててやったけど、そこまでだめとはわかってなかったっていうか」
でも声色は反省してるんだよな。照れくさいのかな。とりあえず無言で頷いておく。
と「なんか、弱味なさそうなやつの苦手なもんとか知ったら…まぁ、からかいたくなるやん」
「は?」
と「ん〜…からかうことでコミュニケーションとりてぇみたいな」
いやうちら何年目の付き合いよ。
あと、その理論は多分もう大人には通用しない。小学生男子が好きな女子の気を引きたいときに使うやつだか…ん?あれ?…それって、つまり、?
「そうか…としみつはそんなに私のことが好きなのか…」
と「まぁそりゃ…は、え?」
「でもね、好きな女の子泣かせていいのは小学生までだから」
と「はぁ…?おま、怒ってな…おいまさかてめっ、」
あからさまに口数が増えた私を見て悟ったらしい。
と「カメラどこ置いた!絶っ対に消せよ!アイスも返せ!」
「おおお落ち着け!というわけで皆さん、これがとしみ…うおっ!?」
と「というわけでじゃねぇげや騙しやがってクソが!」
「口悪っ!だぁぁあ!私のチョコミントぉぉ!」
いつの間にか右肩と左手首を掴まれていて対抗ができない。黙って見上げれば、ハッと動きを止める彼。
と「…な、手ぇ離せ!」
「理不尽!」
今の照れ顔は、もちろんばっちりサブチャン行きである。
ていうか虫触ったあと手洗ったんですかね。そこだけ気になる。
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媚びうま選手権!〜虫眼鏡編〜→←良い子のみんなは見てください
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作者名:V | 作成日時:2018年9月6日 0時