56. テミンとの過去 ページ6
TM ｢例えが極端すぎる｣
A ｢え、そう？｣
TM ｢うん、独特｣
A ｢あ、伝わりづらかった？｣
TM ｢ううん、そんなことない。気持ちは十分伝わったよ。ありがとう｣
A ｢それなら良かった！どういたしまして｣
ここで少し、過去の話をしよう
私がテミンと出会ったのは、もう10年以上も前の話
ボアオンニに引き取られ近所の学校へ転校した私は、ある噂のせいで数週間たってもクラスに馴染むことが出来ずにいた
そんなとき、救いの手を差し伸べてくれたのがテミンだった
テミンは当時から整ったルックスをしていて、同級生だけでなく上級生・下級生までもを虜にしていた
小学生にしてとんでもないモテ男だったテミンは、意外にも1人でいることが多く、同じように1人だった私を気にかけてくれて…
それからというもの、日に日に仲が深まっていった私達は、気づくと2人で過ごすようになっていた
でも、私はずっと不思議に思っていたことがある
だから気になって、前に一度聞いてみた
A ｢ねぇ、テミン｣
TM ｢？｣
A ｢テミンは、どうして私と一緒にいてくれるの？｣
TM ｢どうしてって…そのままだよ。Aのそばにいたいから、一緒にいるの｣
A ｢でも、他の子はみんな私を避けるんだよ？家がヤクザだからって…。その噂が広まってから、私…｣
TM ｢だとしても、僕は怖いなんて思ったこと一度もないよ｣
A ｢……｣
TM ｢それに、ヤクザって言っても必ずしも悪さをしてるとは限らない。実際は、優しい人達なんじゃないの？Aの家族｣
A ｢！…なんで分かるの？｣
TM ｢これだけ一緒にいれば分かるよ。きっとAは、素敵な人たちに囲まれて暮らしてるんだろうなって…。少し羨ましい｣
A ｢…ありがとう、テミナ｣
TM ｢うん、ﾆｺｯ｣
これは後から聞いた話。
テミンの両親は離婚していて、原因は父親の不倫
母親に引き取られてしばらくは2人で暮らしていたらしいけど、身体的・精神的にも限界がきていたテミンのお母さんは病を患ってしまい
その結果、幼いテミンを1人にするわけにもいかず、仕方なく父親のもとへ。だけど、父親はすでに不倫相手と同棲を始めていて、テミンの居場所は無かった
少しして不倫相手とは別れたが、その後も父親は次々と女を変えては傷つけ、別れる時は必ず女が泣いていたらしい
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作者名：NATZU | 作成日時：2021年10月1日 2時
