67. 会いたがってる人がいる ページ19
依頼解決から少し経ったある日…
何でも屋の仕事が落ち着いても、現役大学生である私にのんびりする暇などなく、部屋で課題を進めていると
BoA ｢A｣
A ｢ボアオンニ、どうかした？｣
BoA ｢今、ちょっといい？｣
A ｢うん、いいけど。…？｣
オンニのただ事ではない様子に、私はなぜか嫌な予感がした
BoA ｢いい？今から大事な話をするから最後までちゃんと聞いてほしい｣
A ｢う、うん…｣
BoA ｢単刀直入に言うと、…会いたがってるの
Aの実の父親が｣
A ｢え…｣
オンニの言葉に私は理解が追いつかずにいた
A ｢え、あ、会いたがってるって…私に？｣
BoA ｢そうよ。…数ヶ月前、A宛に手紙が届いてた。前々から時々連絡は取り合ってたから、まさか直接手紙を送ると思わなくて。差出人の名前を見たときは驚いたわ｣
A ｢いや、ちょっと待って、…分かんない｣
BoA ｢ごめん、いきなりこんな話して。最初は言ったところで混乱させるだけだと思ったし、Aにとって父親の存在は決して良いものとは言えなかったから、黙っておこうと思った｣
A ｢……｣
BoA ｢でも…あの人はずっと、Aのことを見守ってくれてたの｣
A ｢え…？｣
BoA ｢Aは知らなかったと思うけど、運動会とか発表会とか何気に見に来てたり、毎年誕生日にはプレゼントを用意したり、自分はそばにいれないからって毎月Aのためにお金送ってきたり｣
A ｢……｣
確かに、前々から気になるところはいくつかあった
それでも毎年送られてくる謎の誕生日プレゼントが、私は楽しみだった
きっと、お母さんからの贈り物だと都合よく解釈していたからだろう
実際は、私がこの世で一番嫌ってる人からの贈り物だったけど
BoA ｢Aのこと、陰ながら応援してたのよ。ちゃんと見てくれてた。そう思うと、一度も会わせないままなのは酷かなって…｣
BoA ｢だからさ ｢無理だよ｣
BoA ｢A…｣
A ｢いくら私に尽くそうが、あの人がお母さんを捨てたことは事実でしょ？｣
BoA ｢きっと、なにか理由があったのよ｣
A ｢じゃあその理由って何！｣
BoA ｢それはっ、…私からは言えないけど、でも！｣
A ｢理由があれば、人のこと簡単に捨てていいの？自分のこと大事に思ってくれてる人を裏切ってもいいの？｣
BoA ｢A…｣
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作者名：NATZU | 作成日時：2021年10月1日 2時
