夏の魔法３

エピローグ ページ48

緑side


今年もきらめく夏がやってきた。


お盆休みの同窓会には、
懐かしいみんなの笑顔。


前は、ホテルのレストランなんて貸し切ってたけど、


だいと康二の主催やから、
気取らず、
学校の教室でやろうってことになってんて。


久々やのに、
みんな高校時代に戻ったかのようにはしゃいでさ。

ほんまに楽しい。


「なあ、かみしげって、
今、おんなじ会社なんやろ？」


誰かに聞かれて。


だいが、


「そうやで！
神ちゃんな、俺の上司やねん！」


明るく答えた。


「やっぱ、生徒会長は違うわ！」


「我が校のエースは健在や！
よっ！エース！」


近藤と康二は合相変わらずやで。


そこまではいつも通りの感じやってんけど。


「実はな、俺、冬に結婚するねん」


急な康二の発表に、
どよめきが起こった。


俺らももう２９やもんな。

そんな歳やねんなって・・・


「まさかの康二が一番乗りとはな！
神ちゃんが一番と思たのに」


「ほんま。
なんせ出世頭やし。
高校ん時の彼女、めちゃ美人やったもんな！」


「神ちゃんは今は彼女は？
結婚の予定あんの？」


怒涛の質問、なんで俺にばっかり集中するねんて。

返事に困ってたら・・・


「神ちゃんはな、
俺の彼女やからな。
俺と結婚する」


だいが先に答えてしもた。


「へ？冗談やめろや！」


「しげ、全然おもんないで」


「しげ、放浪し過ぎて、
遂に頭おかしなったんちゃうの？」


みんなの素直な反応に、
ちょっと胸が痛い。


そらそうやんな。

冗談としか受け止められへんよな。


「みんな、あんな、」


違うねん、て、俺から言おうとした時。


「ほんまやで」


だいが、静かな落ち着いた声で、答えた。


しんと、静まり返る教室。


「本気やねん。ずっと大好きやった。
俺には神ちゃんしかおらんし、
神ちゃんもそうやと信じてるで。
俺ら、絶対に結婚する」


だいの決意を秘めた真摯なまなざしに、
胸がぎゅっと締め付けられる。


驚いてたみんなも。


「いやまあ、高校ん時からな、
かみしげはあやしかったけどな」


「確かにな。
かみしげは特別やもんな」


「絆深いよな。お似合いやわ」


口々に言うてくれた。

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