夏の魔法３

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だいが近寄って来て、
俺のすぐそばに座る。


「違う、違うねん」


「とも、これ、自分で買うたん？
俺が準備すんのに」


「だいに嫌われたくなかったから。
練習しとこ思てん。
そやないと、だい、きっと、
女の子のとこ、行ってまうもん。
けどっ、ちっとも、気持ちくならへん。
俺、無理かもしらん」
　

涙が溢れてきて。

だいがその涙を指で掬ってくれた。


「そんな心配、ともはせんでええの。
俺が気持ちようしたるから。
そこは頑張るから！」


「俺の体、おかしいんかもしれへんもん」


「大丈夫やから、泣かんとき？
ほんま、なんつうか。
発想が真面目過ぎて・・・
そない可愛ええされたら、
困るって」


「可愛いないっ。
こんなとこ見られて、消えたい」


「消えんといてやあ。
俺の大事な宝物やのに。
もっともっと好きになった」


「嘘や」


「ほんまやって」


「だい、だい、だいっ・・・」


ぎゅって抱きついたら、
優しく包み込んでくれた。


「あー、もお。
意外と泣き虫やな、ともは。
まだまだ知らん顔あってびっくりする。
もっと知りたい」


「だい、引いてへんの？」


「引くわけないやん。
こんな可愛ええ場面に出くわして、
興奮せん男おらんって。
さっきから限界ぶっちぎってんねんけど？」


「なっ、何言うて・・・」


「一回断られたし、
俺も傷心しとってんで？
嫌なら無理強いしたらあかんな思て。
ともに嫌われたら、
俺、その時点で人生詰みやもん」


「何言うてんの」


「本音やっちゅうねん。
カッコ悪いけど」


「だいは、モテモテやんか。
北川さんと婚約してるって噂もあるし・・・」


「それは周りが勝手に言うてるだけやん。
なあ、それより小瀧は？
あいつ、来たら、いっつも泊まってくやん」


「流星が迎えに来てん」


「えっ？マジで？
小瀧、流星に内緒にしとったんやろ？」


「だいが言うたんちゃうん？」


「俺、秘密は守るで？」


「なら、流星の勘かな。
めっちゃ嫉妬してたで」


「誰に？まさか、ともに？」


「うん。
なんでか、俺に。
俺がのんちゃん取るわけないのにな」

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