夏の魔法３

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「望、帰ろ。な？
荷物取りに来ただけやから」


「荷物って、二人の思い出の荷物？」


「・・・いや、思い出いうか、
神ちゃんに、
処分してもらうつもりやってんけど、
それはしげが嫌やて言うし。
元々は俺のもんやし。
神ちゃんも困るやんか？」


いつも鷹揚に構えてる流星が、
こんな慌ててんの、
初めて見たかも・・・


「そやけど・・・」


「とにかく、迷惑やから、ここは出よ？」


「藤井先輩も一緒に？」


「当たり前やろ？」


流星の声が溶けそうに甘い。


「そんなら帰る。
神山課長さん、重岡さんも。
迷惑かけてすいませんでした。
失礼します」


望くん、やっと笑顔になった。


可愛ええ二人やな。

新鮮ていうか。


望くんは、ほんまに流星のこと、想ってて。


流星ももう本気になってるように、
俺には見えた。


ドアが閉まった途端。


「やっと帰ったな。
ほんま人騒がせなカップルや。
人ん家でいちゃこらしよって」


すぐ後ろで声がした。

大毅が俺の肩に顎乗っけて、
頬に、


「ただいま、とも」


呑気にキスしたりしてる。


「大毅、なんで流星連れてくるねん。
荷物引き取れ、言うたん？」


「ちゃうって。
今朝、流星の方から、
幸せそうやな、的なこと言うて、
からかってきたからさ。
お前の荷物あるうちは、
気になって仕方ない言うたってん。
ほいだら、取りに来てくれるって」


「それ、大毅が仕向けてるようなもんやろ。
俺、恥ずかしいやん」


「なんで、ともが恥ずかしいねんな。
そういうとこも可愛ええけどな」


「なんも可愛いいないっ」


「なあ、それより、とも。
俺、お腹ぺこぺこやねんけど」


「もお！
まだ話終わってへんのに。
俺もお腹減ったから、
一旦休憩な」


「楽しみ！
この匂い、中華やろ？」


「正解。
回鍋肉と八宝菜作ってみた。
大毅、中華好きやろ？」


「好き！めっちゃ好き！」


急に子供みたいやねんから。

ほんま、ずるいわ。









だい、ご飯食べて、一緒に映画見たら、

自分の部屋、帰ってしもてさ。


めっちゃ寂しい気持ちになった。


そら、毎晩、あんな濃厚なんは、無理やけどっ。


「なんも帰ることないやん・・・」

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