夏の魔法３

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耳に到達した時、
ともの身体がびくんと跳ねた。


深いため息、漏らして、
震えを止めようとしてる。


「ともももう感じてくれてるやん？
とっくに気付いてると思うけど、
俺は、も、限界」


「だい・・・」


ともを抱っこして、膝から下ろして。

すぐに手を繋いだ。


「ベッド、行こ」


「う、ん」


ともはまだ不安そうな、
途方に暮れた顔してる。

あんなに感じてくれとったのにな。


なんで？

元カレの松岡さんに会うたから？


胸がざわついてんの？


ベッドに、ともをすとんと座らせて。

俺もそのすぐ隣に座る。


手は繋いだまんまで、
すぐにキス。

深く深く求めながら、
ともの浴衣の上から、
肩を撫でて、その下へ。


浴衣の布の手触りが邪魔でしかない。

滑らかな素肌を直接感じたい。


ともの浴衣の帯に手をかけたら、
その手の上から、真っ白な手重ねられて、制止された。


「とも、俺とは、嫌？」


「そんなんちゃうけど、でも」


「なんで焦らすん？」


「焦らしてんちゃうもん」


「焦らしてるやんか。
俺んこと、いじめてんの？」


これ以上のお預けは、マジできつい。


「ちゃうって。
しげ、あのさ」


また、しげ呼びに戻ってしもた。


もし今、
やっぱり友達としか見れへん言われたら、
立ち直られへん。


「ん？どうしたん？」


とも、言いにくそうに、もじもじしてやる。


「しげ、笑えへん？」


「笑えへんよ、どうしたん？」


「俺、俺さ・・・
俺な・・・」


「ん？ゆっくりでええよ」


ほんまは、先に先にって、
気持ちは焦ってて。


今すぐにでも、俺のもんにしたいのに。

痩せ我慢で余裕のあるフリ。


「俺、経験ないねん」

　
ん？

今なんて？


「・・・」


ともが何言うてんのか、
一瞬、理解が追いつかへんかって。

無言になってしもた。


「やっぱ、びっくりしたよな。
焦らしてるとかやなくて。
しげがしげちゃうみたいに慣れてて、
どんどん進めるから。
なんかもう、いっぱいいっぱいで・・・
どうしてたらええんか分からへん。
ごめん。
ええ大人やのに」


唇噛んで、俯く、とも。

もう泣いてまいそうや。

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