夏の魔法３

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「あ、ごめん」


慌てて、離れようとするから、
ぎゅっと抱きしめる。


「神ちゃん、まだ酔うてる？」


「ううん、もう冷めたと思う。
なあ、しげ」


「ん？」


「後でいいや。
お風呂入って来てや」


「うん。分かった」


ちゅって、短いキスをして離れる。


瞬間に、胸が痛いぐらいの、寂しさが襲う。


猛ダッシュで戻ってこよっと。









シャワーでチャチャッと済ませて、
部屋に戻る。


神ちゃんが寝てもうたら、嫌やもん。


そんな心配をよそに、
８分前と全く同じポーズで、

神ちゃんは、
窓辺のソファに丸まって座ってた。


「神ちゃん、お待たせ！」


「しげ、烏の行水より短かったで？
ちゃんと洗えたん？」


「洗ったって！ぴかぴかのすべすべやで！」


「ふっ」


「ほんまやって！」


「髪も乾かしてないやん」


「ええねん。
すぐ乾くし」


「もお・・・」


ソファは一人がけやから。


一旦、神ちゃんの手を引いて、立ち上がらせて、
俺がそこに座る。


「ちょ、しげ、何？取らんとって」


言うてる間に、俺の膝の上に乗せたった。

向かい合うて、
抱っこして。

めちゃめちゃ距離近くて、
幸せでたまらん。


「しげ、この体勢、まじで恥ずいねんけど」


「ええやん。
俺ら、カップルやで？」


「せやけど、付き合ったばっかやし」


「一番甘々な時やろ？」


「しげって、そんなタイプやったん？
いつも人前でベタつくカップルに悪態ついてるやん」


「今、人前ちゃうやん」


「そやけど・・・」


「たまには、
大人しいして、
彼氏の言うこと聞いといて」


「う、うん・・・」


神ちゃんの耳たぶが真っ赤っかに染まってる。

あんまり可愛ええから、
そこにキスしてしもた。


「神ちゃん、
さっき、話ある言うてたやろ？
何やった？」


「う、ん。
えっとな。
松岡さんのこと、やけど・・・」


うわ、いきなしきたわ。

避けられへん感じ？


「うん・・・」


「ごめんな。
なんか、松岡さん、
人情にあつい面倒見ええ人やからさ。
悪気はないと思うねん」


「そうやな、そんな感じした」


「しげ、嫌な気分なったよな。ごめんな」

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