夏の魔法３

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いや、神ちゃんて、やばいぐらいモテるから、
もっと大人数かもしらん。


その中で何人と深い関係になってんやろ。


あかん・・・


現実逃避したくて、
壁に、おでこ、擦り付けてたら、


「しげ、一体何やってんの？」


背後で、神ちゃんの冷めた声がした。


「うわっ。
神ちゃん！
おるなら声かけてや。
シャワー終わったん？」


「いや、やから今、声かけてんけど。
壁に頭ぶつけたら、怪我すんで」


「大丈夫。
ちょっと精神統一してただけやから」


「やっぱ変やな、しげって」


「やっぱって、酷いな」


神ちゃんは、
まだ濡れてた髪を、
タオルでごしごし拭いてて。

その仕草に釘付け。


ホテルの浴衣姿、
何回見ても、めちゃくちゃ可愛ええ！


寝相悪いから、
朝になる頃には、はだけまくってんねやろな。


あ、想像しただけで、鼻血出そ。


「次、しげ、シャワーして来る？」


神ちゃんは、
窓辺のちっこい一人がけのソファで、
ドライヤーかけようとしてる。


「その前に、俺が髪の毛乾かしたろか」


「ええん？」


ぱっと顔が輝く。

可愛え。


「やってみたい」


恋人っぽいこと。

て言葉は、照れるし飲み込んだ。


神ちゃんの後ろに立って、
ドライヤー片手に持って。

熱風を送る。


「しげ、あんがと」


一瞬、顔、真上に向けて言うてる。

ひゃあ、かわえ。


「ん。ええよ」


「松岡さんにはっきり言うてくれた時、
しげ、・・・かった」


ブォーっていう風の音で、聞き取りにくい。


「え？」


「何でもない」


慌てて誤魔化した神ちゃんの、耳が真っ赤に染まってる。


多分やけど・・・


カッコ良かった、言うたんかな？


やば。

にやける。


神ちゃん、
流星にはカッコええ、ばっかり言うてさ、
俺には全然やもん。

妬けるやろ。


けど、そのカッコええ流星より、
俺を選んでくれたから、

今、こうして二人で一つの部屋におれるんやもんな。


「はい、完成」


ドライヤーのコンセント抜いて、
デスクの上に置く。


「しげ、ありがと」


「どういたしまして」


「しげ」


神ちゃん、ちょっと緊張してんかな。

声が、掠れてる。


急に立ち上がってさ、
酔が残ってたんか、ふらついて・・・

俺の腕の中へと倒れ込んできた。

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