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七 吹雪の誓い ページ9

「去年までは。」


東雲さんは、急に顔を曇らせて、話を切った。

「去年、一体何があったんですか?」

「人には他人に踏み入られたくないこともあるんだよ。」

東雲さんは口元に微笑を浮かべて言った。

「…すみません。」

「でもね、その人の心に土足で踏み込んでくる癖にそんなに嫌な気持にならない独特の雰囲気、凄く葵に似てる。」

「…日向さんは龍と戦って命を落とされたんですよね。」

「どうして?」

「東雲さんの話ぶりだと、貴方が殺したのではないように思えます。」

「いや、私が殺したんだよ。」

「どういうことですか?」


「去年の冬、私と葵はいつものようにあちこちを巡って旅してた。
そうしたら、全長3メートルほどの龍が出たの。
それなりに大きかったけど、私たちは躊躇せずに龍の排除にかかった。本当にいつも通り。
私は遠距離攻撃派で、葵は近距離攻撃専門だったから、葵が先に龍に近づこうとしたのね。
でも、興奮して頭が真っ白だった私が葵よりも先に龍に攻撃した。
当然相手は私を狙った。
葵はそれを見て、私の前に立ちはだかったんだ。ついさっきの三条さんのように。
それで、急に位置を変わった私たちは態勢が崩れて、一気に葵がやられた。
私は葵を抱えて、走って走って走った。
足がもげるくらいに。
でも、龍に首を傷つけられた葵はもう手遅れで。
最後に二人で一つだけ約束したの。

『二度と龍に関わらない』ってね」


「そんな…」


「私は君と違って龍をとても憎んでる。
今にも全ての龍を滅殺してやりたいくらい。
でもさ、そんな世界一憎い醜い化け物の相手をすることより、私は、世界一愛している唯一の親友との約束を守ることを選んだ。
それだけだよ。」

八 本当は。→←六 東雲吹雪の過去



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夏巻(プロフ) - ぬーん|´-`)vさん» コメントありがとうございます!そんなこと言って頂けて、とても嬉しいです!!ぬーんさんの期待にこたえられるようにこれからも頑張らせていただきます! (2020年7月29日 8時) (レス) id: 224dfaba1e (このIDを非表示/違反報告)
ぬーん|´-`)v(プロフ) - コメント失礼します!とっても面白いです…!!文学青二才だなんて、全然そんな事ないです!視点の移り変わりもちゃんと分かりますし、文章もしっかりしていて凄いと思いました。更新楽しみにしてますので、作者さんのペースで頑張ってください! (2020年7月28日 22時) (レス) id: 866fa73fd5 (このIDを非表示/違反報告)
夏巻(プロフ) - みかんさん» コメントありがとうございます!続きも頑張ります! (2020年6月29日 5時) (レス) id: 224dfaba1e (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 凄く面白かったです!続きが楽しみです! (2020年6月28日 20時) (レス) id: 81088dc977 (このIDを非表示/違反報告)
夏巻(プロフ) - uikisさん» わああ!応援ありがとうございます!是非とも頑張らせて頂きますね! (2020年6月27日 12時) (レス) id: 224dfaba1e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏巻 | 作成日時:2020年6月21日 16時

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