☆龍殺しの少女【オリジナルファンタジー】

十一　龍狩り ページ14

「仲間として話させて下さい。」


そっと、怜奈が口を開いた。


「暁龍狩り団は、若手の団長が率いる新設の龍狩り団です。
私や東雲さんのような、龍に肉親を殺された学生などで構成されています。」

「新設…？」

「はい。とは言っても、５年ほど前にできたばかりの若手集団ですね。
東雲さんもご存じかもしれませんが、古から存在すると言われている『出雲組』とは全く格が違います。」

「出雲組…」


恐らく、龍が最初に現れたのと同時に設立されたとされる龍狩りの民族たちが集まっている集団のことだろう。

どこの隊よりも龍に対する怨みが強いと噂されている。


「それと、暁と同じくらいの年に作られた『帝国龍殺団』というのもご存じでしょうか？」

こちらも出雲組と同じく勢力を持っているとされる新設龍狩り団だ。政府公認の強豪集団である。

国がよほどの投資をしたのだろう。政府公認組織として多大な活躍をしている。

「ご存知のように、現在龍狩りの組織は昔と比べてとても沢山存在しています。
ですが、それぞれの組織には必ず細かい方針があるんですよ。
これは関係者しか知らない話なのですが。」

「方針？龍を殺す。それだけが龍狩りではないと？」

「はい。例えば、東雲さんの仰ったように、『龍をこの世から抹消する』
これは主に出雲組がモットーにしている事です。
ですが、政府が力を注いでいる帝国は龍を殺すだけが終わりではないという考えです。」

「と言うと？」

「ご存知かとは思いますが、龍は主に生きているうちは害であっても、その肉や油は貴重な食料になります。
骨や皮を扱ったアクセサリーなども高額で売買されている。」

「つまり、政府の組織は殺した龍を取引して金を儲けること。
これが主旨なんだ。」

「はい。」

悔しそうに玲奈は言う。

「それで、暁龍狩り団にも大きな方針というものがあるの？」

「ええ。なんだと思いますか？」

「さぁ。全く分からない。」

「少しは考えて下さいよ」


苦笑してから、一音一音を確かめるかのように彼女は言った。


「『人と龍を共存させること』です。」

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