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「李丁は…兄弟は今どこにいるんだ?山頂まで登っているのか?」

「ああ、頂上にいるぞ!」

「俺たちもこの山に用があるんだ、山頂まで一緒に行こう」




 そう言って山道に足を戻す後ろ姿には、特にこれといった屈託は見えない。ならば先程、旅人が妙に深く考えていたことはなんだったのだろうか、と…それだけが頭の中に引っかかっていた。


***

 道中にてその男は李当と名乗り、兄弟の名は李丁と言うと私たちに示した。肝心の仙人についての話は李丁と合流してからにしようと言うことになり、私たちはせっせと山を登ることだけに集中した。
 …やがて頂上付近まで来ると、その辺りを忙しなくうろうろと彷徨(うろつ)いていた李丁が、こちらに…というか李当に気付いてだだだと駆け寄ってくる。すると「せ、仙人の使いよ!ありがとうございます!」とまた手と手を合わせて拝むようなポーズをとり始めた。しかし最早慣れてきてしまっているのか、旅人は軽くスルーしながら訊ねる「仙人を見たことはある?」




「うん?ああ…俺らも噂程度には聞いたことがある、この琥牢山は仙人の敷地だって。でも俺らみたいな凡人が仙人に会うなんて、夢のまた夢だ。ただ、尊き仙人の使いのあなたなら、きっと俺らとは違うはず…」




 そこまで言って、李丁は「おっと」と口を閉じた。「これ以上仙人の敷地でうるさくしてはいけないな」もう帰ることにするらしく、一歩足を引いて始終「ありがとう」と唱えながら、二人はさっき登ってきたばかりの道を降りていった。

 「オイラたち、本当に仙人の使いだったらいいな…」パイモンがあの兄弟のいた場所を見つめて呟く。パイモンさんは本当にそれっぽいですけどね、なんてパイモンの頭上に浮かぶ輪を指して言えば、「それって褒めてるのか…?」と疑問の声。
 ……そして。それとほぼ同じタイミングで、パイモンとは違った(おごそ)かで低いひとつの声が前方から聞こえてきた。




「山門を荒らし、戒めを受けさせた賊人を逃したか。無知なる凡人よ、我が戒めをその身に受けよ!」





 目の前に降り立ったのは、威嚇するように大きく羽を広げ、鶴のような背の高い鳥の形をした仙人だった。そのあまりの迫力に、パイモンは「ひゃうっ!」と恐れをなして旅人の後ろに回り込む。

 間違いない、あの仙獣の姿──私たちが探していた“理水畳山真君”だ。

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もゆ(プロフ) - 2024になった今でも、ずっと楽しみにしています。 (1月6日 2時) (レス) id: 72eec337ed (このIDを非表示/違反報告)
gtuysut5843…(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2022年8月30日 0時) (レス) @page45 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
なつおと(プロフ) - 夢さん» コメントありがとうございます。そういって頂けるととても励みになります!一定間隔空けての更新となりますが、素敵な内容をお届けできるよう頑張りますね。 (2022年4月5日 21時) (レス) id: 10e597e23d (このIDを非表示/違反報告)
- 小説めちゃくちゃ面白くて大好きです!続きがとても気になります!更新頑張ってください! (2022年4月4日 18時) (レス) id: 5b6bab53ae (このIDを非表示/違反報告)
なつおと(プロフ) - ルリさん» コメントありがとうございます。感嘆符の数だけ気持ちが伝わってきていて私も嬉しいです。これからも更新頑張らせて頂きますね! (2022年2月20日 21時) (レス) id: d342b4dd7b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:  | 作成日時:2021年1月25日 21時

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