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“ホンモノの公子”ではない?そりゃあそうだろう、璃月港は岩神や七星を中心に民が生きる、神と共にある国だ。貴族も何もあったこっちゃない。
私の様子になにか感じ取ったであろう旅人の影が、私の斜め前に落とされる。守ろうとでもしてくれているのか、ちらりと目の端に庇うように出された左手が見えた。
「ま、まさかお前…!」
「面をお上げ」別に俺は喧嘩を売りにきたわけじゃないんだ、と旅人を片手で制した公子様は、私の頬をもう片方の手で掴み、ぐい、と無理やり私の顔を上げた。ぎゅっと公子様の指先が頬肉に少しだけ食い込んでいる。
「うん、見下ろすのは悪くない」
私だけに聞こえるよう小声で言う辺り、彼の性格が悪いということをつくづく感じる。「変な顔だねぇ」頬を潰されているんだから当たり前だろう、と本来ならば反抗しているのだと思うが今そうするわけにも行かなく、私はまだ怯えたフリをしていた。
「どうやら“淑女”は君たちに悪い印象を与えたようだね?はあ、あの女の事は…俺も好きじゃないんだよ」
…満足したのか、公子様が私の顔からやっと手を離す。にしても淑女様の風評被害がすごいな…私からすれば彼女は普通に良い人だと思うんだが、次公子様と淑女様が出くわしたら喧嘩を始めないかと不安ではある。正直公子様は組織内で悪い噂が絶えないから、淑女様から嫌われていたとしても仕方ない気もするけど。
「ひとまず、あの女がしたことは一旦忘れてくれ!」俺は君たちを助けに来たんだよ。そう告げて公子様は両手を上げ、戦意がないことを示した。彼らの様子は、と旅人とパイモンの方を見ると、前から見つめられていたのか視線がばっちりと合った。
心配そうな顔だ。私が公子様に対し怯えていた、…フリをしていたからだろうか?
大丈夫の意を込めて笑って頷けば、旅人はほっと安堵の色を見せてほほえんだ。そして明らかな敵意を注ぎながら公子様を睨む。「助けに?」
「そうだよ、助けに。俺は悪いやつじゃなっ、…いや、まあ悪いやつか。とにかく、君たちと敵対するつもりはない。だから“とりあえずこいつを倒す”なんて考えは、一旦置いておいてくれないかな?」
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もゆ(プロフ) - 2024になった今でも、ずっと楽しみにしています。 (1月6日 2時) (レス) id: 72eec337ed (このIDを非表示/違反報告)
gtuysut5843…(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2022年8月30日 0時) (レス) @page45 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
なつおと(プロフ) - 夢さん» コメントありがとうございます。そういって頂けるととても励みになります!一定間隔空けての更新となりますが、素敵な内容をお届けできるよう頑張りますね。 (2022年4月5日 21時) (レス) id: 10e597e23d (このIDを非表示/違反報告)
夢 - 小説めちゃくちゃ面白くて大好きです!続きがとても気になります!更新頑張ってください! (2022年4月4日 18時) (レス) id: 5b6bab53ae (このIDを非表示/違反報告)
なつおと(プロフ) - ルリさん» コメントありがとうございます。感嘆符の数だけ気持ちが伝わってきていて私も嬉しいです。これからも更新頑張らせて頂きますね! (2022年2月20日 21時) (レス) id: d342b4dd7b (このIDを非表示/違反報告)
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