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 ただ漠然と大人の女として、と思っただけで、そこに具体的な目標とプロセスなどは特に無い。こんな緩さでは抱負も何もあったものではないだろうか。株だとか投資だとかを考え始めてもいい年齢なのかも知れないが、今思い立ったにしてはちょっと重い気がする。せめてもう少し軽めの所がいい。


「まあでも……そうだなぁ。もうちょっとこう、年下彼氏を手のひらでコロコロとしちゃうような余裕ぶりをね」


 丁度いい塩梅ではないだろうか。手のひらを上に向けて転がすような仕草をしてみると、彼は私の手のひらの上で指をくるくると回した。


「俺、普段から結構Aさんの手のひらで転がされてる自覚あるよ。こんな風に」
「私が転がしてる自覚が無いから駄目なの。もっとこう、ハッキリとした自覚を持って拓司くんを転がしたい」
「ちょっと意味分かんねぇわ」


 肩を竦めながら彼が遊ばせていた手を戻す。それにしてもステップアップか。重過ぎず、でも或る程度しっかりとした目標で、尚且つ今後の自分に役立ちそうなものと言うと――。


「何か資格でも取ろうかな。折角、QuizKnockでも勉強の機会を取ってくれてる訳だし」


 本当に思いつきでふと呟いた私の声に、彼は柔らかく表情を綻ばせた。


「ああ、それもいいんじゃね? 学生から社会人まで幅広く学びの時間取って貰う為のチャンネルだしな、あれ。Aさんも時間合う時に使ってやってよ」
「だよね。ちょっと頑張ってみようかな、拓司くん以外の人の時に」
「なんで俺以外なんだよ」
「だって画面見ちゃうもの、拓司くんが居ると」


 彼が作業をしている姿は別に珍しくも何ともない。同じ部屋で暮らしていれば日常的に目に入るものだ。それでも、推しが画面越しに居る、という状況はやっぱり特殊で、普段の生活と違ってまじまじと見つめてしまっても「何見てんの」と問われる事は無い。好きなだけ観察出来ると思うと、貴重な機会なのだ。


 そんな私の言葉を聞いた彼は、ニヤリと口の端を吊り上げた。



 

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奈都(プロフ) - のんさん» コメントありがとうございます。それぞれの気持ちに寄り添って書いてきたつもりではあるので、感情移入して頂けているととても嬉しいです。やっぱり最終的にはきっちりゴールインしてほしい…!と思いつつ亀の歩みですが、これからも見守って頂けると幸いです。 (2021年10月1日 22時) (レス) id: 1ea9b7d420 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 更新に歓喜です‼︎Gravityから読ませていただいている側としては感情移入しすぎて、若干泣きそうになりましたが、結婚考えてくれてたんだとホッとしました(笑)何度読み返してもキュンとできる奈都さんの小説、、私の元気のもとです! (2021年9月26日 2時) (レス) @page31 id: 1f7bb03b81 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:奈都 | 作成日時:2021年1月31日 13時

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