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フワちゃんと言えば引っ越し直後、彼の親友代表(？)としてこの部屋を訪れた事がある。訪問の間際まで私と同居を始めたという事を話していなかったようで、フルーツの盛り合わせと一緒に包丁まで頂いてしまった。伊沢拓司の家に包丁なんてある訳が無い、と思っていたとの事だ。
どうして前もって話しておかなかったのか、と詰め寄る女子二人に向けて彼が言い放った
『いや、だってなんか恥ずかしいじゃん。フワちゃんに同棲の事知られんの』
という台詞に、十二年間男子校育ちだった彼の片鱗を久々に垣間見た気がして、初対面のフワちゃんとまじまじ顔を見合わせてしまった事は記憶に新しい。一体何が恥ずかしいのだろうか、羞恥の基準が何処かズレている。
彼の数少ない芸能界での親友は、初対面である私に対して気を遣ってくれつつもフランクに接してくれた。気の置けない相手の一人だと常日頃から彼も言っていたが、何となく分かる気がする。メディアで見せる破天荒な性格ぶりも間違いなく彼女の一面ではあるのだが、同時に面倒見の良さや細かな気遣いを感じられる姐御肌な一面もある。
だからこそ、そんな頼れる相手に彼も色々と相談していたようなのだが、それにしても
『伊沢がさ、最近彼女が妬いてくれないってウザいから、たまには妬いてあげた方がいいよ。悪いけど、アタシもそんな事で伊沢に絡まれんの超ウザいし』
なんて言われた時は、流石に何を相談しているんだと呆れ気分にもなった訳なのだが。友人に相談をするのは勝手だが、あまり変な事は言わないでいてほしい。
「――さん、Aさん」
「えっ？ あ、何？」
「テレビ消していいか、って」
「ああ、うん、大丈夫」
「考え事？」
私の返事を聞いてテレビの電源を落としつつ、彼が軽く首を傾げた。名前を呼ぶ声がまるで聞こえていなかったので、何かあったのだろうかと怪訝な様子だ。
「や、考え事ってほどじゃないけど……。今年も何だかんだで色々あったなぁってちょっと思い返しちゃって」
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奈都(プロフ) - のんさん» コメントありがとうございます。それぞれの気持ちに寄り添って書いてきたつもりではあるので、感情移入して頂けているととても嬉しいです。やっぱり最終的にはきっちりゴールインしてほしい…！と思いつつ亀の歩みですが、これからも見守って頂けると幸いです。 (2021年10月1日 22時) (
レス) id: 1ea9b7d420 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 更新に歓喜です‼︎Gravityから読ませていただいている側としては感情移入しすぎて、若干泣きそうになりましたが、結婚考えてくれてたんだとホッとしました(笑)何度読み返してもキュンとできる奈都さんの小説、、私の元気のもとです！ (2021年9月26日 2時) (レス) @page31 id: 1f7bb03b81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奈都
| 作成日時：2021年1月31日 13時
