マイルストーン（izw） ページ32
一緒に暮らそうという話をしたのが今年の七月の事。それからドタバタと物件を決めて引っ越しを済ませ、あっという間に年の瀬を迎えた。果たして共に住み始めて上手く生活出来るのかという不安が無かった訳ではないが、コロナ禍になってから約一年間が半同棲のような状態であった為、これと言って目立つ問題は浮上しなかった。寧ろ、住む部屋が広くなった分、これまでよりも快適な事が増えたぐらいだ。
家具も殆どを買い替える事となったのだが、その殆どを彼の経済力に頼ってしまった。勿論、稼ぎの額が雲泥の差である事は重々承知の上だが、それでも少し情けない。
そんな訳で一人暮らしの頃より大きくなったソファで、私と彼は横並びになっていた。四人掛けのコーナーソファはこれまでよりスペースにかなり余裕があって、ゆったりと座れる状態だ。ゆとりがあるのは素晴らしい事なのだが、その分少しだけ距離が出来てしまうようで若干寂しい気もする。どっちも取りたいだなんて、つくづく人間というのは欲深な生き物だ。
「はぁ〜」
不意に隣からそんな声が上がった。それまでテレビの音声をBGMに作業をしていた彼が、膝に抱えていたノートPCをパタンと閉じる。どうやら本日の作業はここまでのようだ。
「拓司くん、もう寝る？」
「うん。流石に」
大晦日である明日は、早朝から生放送の番組出演がある。毎年楽しみにしているクイズ番組は後日見る事にして、今夜は大人しく眠りに就くらしい。私も合わせて床に就こうと、寝支度を整え始める。
「大変だよね、大晦日まで朝早くから」
「仕事だからなぁ。あるだけありがたいってモンだろ」
「確かに」
「まあ明日は山里さんの番組だし、フワちゃんとか渋谷さんとか顔馴染みも多いから」
生放送ではあるけど多少は気が楽に出来そうだ――と彼は続ける。長く世話になっていたり、プライベートでも付き合いのある友人だったり、しょっちゅう一緒にロケをやっていたり、ホームではないにしろ完全アウェイでもない訳だ。
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奈都(プロフ) - のんさん» コメントありがとうございます。それぞれの気持ちに寄り添って書いてきたつもりではあるので、感情移入して頂けているととても嬉しいです。やっぱり最終的にはきっちりゴールインしてほしい…！と思いつつ亀の歩みですが、これからも見守って頂けると幸いです。 (2021年10月1日 22時) (
レス) id: 1ea9b7d420 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 更新に歓喜です‼︎Gravityから読ませていただいている側としては感情移入しすぎて、若干泣きそうになりましたが、結婚考えてくれてたんだとホッとしました(笑)何度読み返してもキュンとできる奈都さんの小説、、私の元気のもとです！ (2021年9月26日 2時) (レス) @page31 id: 1f7bb03b81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奈都
| 作成日時：2021年1月31日 13時
