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 ぶつぶつ言いながらメモを取る伊沢は、一応きちんと仕事モードではあるようだ。そして俺の偏食ネタを扱う事について、俺の意見は尊重されないらしい。いや、まあ隠している事でもないし、それで面白くなるのなら構わないのだけれど。


「そういや、この間高松が言ってたわ。福良さんに野菜食わせる企画はやっぱハネるから、また何かやりたいって」


 思い出したように伊沢が言う。つい先日公開された俺の食レポで野菜を当てるクイズは、視聴回数の伸び率がかなり良かったのだ。それを聞いた彼女が、分かり易くパッと明るい表情になった。


「あー、この間の野菜当ても良かったよね。めっちゃ応援するからまた頑張って形にしてよ、伊沢くん。拳くんが野菜食べる機会増やしてこう」
「って仰ってますけど、福良さん的にはどうなの」
「いや、まあ食べたいか食べたくないかで言ったら食べたくはないけど……うーん。それこそ俺の野菜ネタが伸びるってのは事実なんだよね」


 視聴者の反応がいいのなら当然やるよな、と考えてしまう辺り、いつの間にか自分もすっかりYouTuberになってしまったんだなあと、今更ながらに自覚するのだった。


 * * *


 十一月ともなると流石に夜は少し肌寒い。結婚式の招待状の返事もぼちぼち届き始めている。時節柄、二次会はやらないという事で最終決定になった。例えばあと一年早かったら、こんな事で色々と頭を悩ませなくても良かったのかも知れないが、まあ俺たちはそういうタイミングだったのだろう。


「A。コーヒー淹れたよ」
「ありがと」


 ノートPCと向き合って真剣な顔をしている彼女の手元に、湯気の立つマグカップを置く。俺も彼女の隣の椅子を引いてそこに腰掛け、目の前のPC画面を覗き込んだ。今は前撮り写真の中から、ウェルカムボードに使う物を選ぶ作業中だ。


「このドレス、やっぱいいデザインだったね。Aすっごい脚長く見える」
「まあ元々長いですから?」


 フフンと謎のドヤ顔を発揮しながらも、写真を選ぶ彼女の目つきは真剣だ。画面の中に映る俺と彼女は、それぞれタキシードとウェディングドレスで向き合って笑っている。



 

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奈都(プロフ) - のんさん» コメントありがとうございます。それぞれの気持ちに寄り添って書いてきたつもりではあるので、感情移入して頂けているととても嬉しいです。やっぱり最終的にはきっちりゴールインしてほしい…!と思いつつ亀の歩みですが、これからも見守って頂けると幸いです。 (2021年10月1日 22時) (レス) id: 1ea9b7d420 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 更新に歓喜です‼︎Gravityから読ませていただいている側としては感情移入しすぎて、若干泣きそうになりましたが、結婚考えてくれてたんだとホッとしました(笑)何度読み返してもキュンとできる奈都さんの小説、、私の元気のもとです! (2021年9月26日 2時) (レス) @page31 id: 1f7bb03b81 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:奈都 | 作成日時:2021年1月31日 13時

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