私たちの秘密事。２

78 大我side ページ29

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樹「本当に、何も無くて。…でも、男と女が一緒の部屋にいたら何かしらあるって疑う気持ちも分かります。でも、本当に俺らは何もしていない。誤解させるような行動をしたことは謝ります。本当にすいませんでした。…でも、本当に何も無いから、…だから、Aを信じてあげてください」









彼は必死に訴えかける。







それからもずっと、彼は必死に弁解を続ける。










何もしていない、なんて、嘘に決まっている。







俺はAに何を言われても、聞こうともせず、信じようともしなかった。







でも今こうやって、改めて樹から言われて、本当に何も無かったんだ、と思い知らされる。







今まで、Aを疑い続けた自分に腹が立つ。









樹「お願いだから、Aを信じてあげて…？」









彼は一生懸命に目で訴えかける。







俺はAのことを信じようともしなかったのに、樹はAのことを信じている。








それが、俺にはきつかった。








Aの彼氏のはずなのに。








1番近い存在だと思っていたのに。









なぜか、樹のほうがAのこと1番分かっていて、1番近い存在なんじゃないかと思ってしまう。









大我「……うん、わかったよ」









……俺には、こういうしかなかった。







先生として。









樹「…よかった……っ。」









ねぇ樹。






樹は好きな人のためなら、何でもできる？







例え、好きな人が自分のこと好きじゃなくて、他の誰かを好きでも。








…俺には、きっと、できない。







好きな人には自分を好きでいて欲しいから、そのためなら俺は何だってする。








俺は樹ほど心が広くないんだ。








樹はきっと、好きな人が誰を好きでも、その人が笑顔になれる幸せを望むはず。








俺にはない、その心の広さが、ただ、ひたすら、悔しくて羨ましかった。









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