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重い腰を持ちあげて、大我との個別授業が行われる部屋に行く。
教室にはまだ大我が来ていなかった。
私は椅子に座って、はぁ、と深くため息をついた。
謝りたくても、きっと彼はまた何も聞いてくれない。
聞く耳すら持ってくれないだろう。
そう思うとすごく悲しくなる。
今まで、あんなに信じてくれてたのに。
ガラガラ
大我「ごめんお待たせ」
彼は一言私に告げると、何事もなかったように授業を始める。
大我「宿題見るから出して」
いつもなら、授業する前に個人的な話をしてからするのに、今日はすぐに授業が始まる。
私は昨日、夜遅くまで戦った宿題を出す。
大我「……これ全部やったの?」
私は素直に頷く。
大我「あれ、俺ここまでって言わなかったけ?」
大我は私がやってきた分の半分の量を指して、問いかけてきた。
…そんなはずは、ない。
『えっ、だって、76ページまでって…』
大我「俺56ページまでって言ったよ」
『えっ…』
私の聞き間違えで、20ページも多くやってしまっていた。
大我「一晩でこの量やったんだ、しかも苦手でしょこの単元」
鬼のような仕打ちだな、と思いつつ宿題をこなしていたから、仕方がないと思っていたけど、やっぱり聞き間違えだったんだ。
……昨日の努力した時間、返して欲しい。
大我「でも、だいたい合ってる。」
いつもならきっと、よく頑張ったねって言って、頭を撫でてくれるのに。
今日は全然褒めてくれない。
...
それから4時間、みっちりと知識を詰め込む。
毎日受験生なんじゃないかってくらい、勉強に時間を充てていると、頭がおかしくなってきそうだった。
大我「とりあえず、午前はここまでね。お昼食べたら他の教科も見るから」
食堂行っておいでって言われる。
やっぱり、素っ気ない。
もっと、話したいのに。
そんな思いをぐっと堪えて、午後の授業が終わったら大我に話そうと思って、席を立つ。
その瞬間、視界がぼやけて、ぐるぐる回るような感覚が抜けられない。
……なに、これ……。
…
気づいた時には、大我の声が遠くの方で聞こえた。
大我「Aっ…、」
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りこ - すごい面白いです!また交換していただけると嬉しいです (2020年4月27日 9時) (レス) id: 4d62ada711 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - 更新楽しみにしてます!! (2019年9月7日 0時) (レス) id: dc867d738f (このIDを非表示/違反報告)
みーちゃん。 - とても、面白いです。更新待ってます。 (2019年8月4日 8時) (レス) id: 94770c9e14 (このIDを非表示/違反報告)
なつみかん。(プロフ) - annintamtamさん» コメントありがとうございます!今後も楽しんでいただけるように頑張ります!!! (2019年7月20日 11時) (レス) id: c0f86098d8 (このIDを非表示/違反報告)
なつみかん。(プロフ) - ゆなさん» コメントありがとうございます!大好きだなんて、嬉しくてにやにやしちゃいますっ笑 頑張りますので応援よろしくお願いします♪ (2019年7月20日 11時) (レス) id: c0f86098d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なつみかん00 | 作成日時:2019年7月6日 19時