たいやきが十五匹 ページ16
「わぁぁ海だー!!!」
写真でしか見たことがなかった海の景色。どこまでも続きそうなキラキラとした海面が美しい。
海特有の磯の香りが、初めて私の鼻を掠めた。
「あんだけ文句言ってたのにサ、一番Aが楽しんでんじゃん」
「もう連れて来られたもんはどうしようもないし、ここまで来たら腹括って遊んで二人の奢りでやけ食いしてやるもん」
「ハハ、オレらに奢らせるヤツなんてそうそういねぇよ」
「じゃあ慰謝料ってことで」
「ケンチーン、オレ財布忘れたから全部ケンチンの奢りな」
「ハ?テメェふざけんじゃねぇ!!!」
____
結局マイキーくんのワガママに折れたドラケンくんが、少し離れたコンビニまで色々買いに行ってくれることになった。
私とマイキーくんは二人で砂浜を歩く。
「ふふ、そういえば初めて会った時も武道くんに奢らせてたね」
初めてマイキーくんが店に来た日を思い出す。不良だし怖かったけど、たいやきを褒めてくれたのは素直に嬉しかった。
「いーの。オレ総長だし」
「っえ、そうなの?」
「知らない?東京卍會って」
「いや…不良のことはさっぱりで…」
東京卍會の総長なんて初耳で、改めて自分がどんな人と話しているのかを実感して緊張する。
「別にそんな身構えなくても一般人にはなんもしないのに」
「それは分かってるけど…」
彼が凄い集団のトップであるのも確かだけど、襲われた時に彼が助けてくれたのもまた事実。
「じゃあ逆にどうして一般人の私に構うの?」
「え〜?何でってそりゃ、オレがAを気に入ったから♡」
「もう、なにそれ。答えになってないじゃん」
ふふ、と笑うと、マイキーくんは何故か真剣な表情になった。
「A。オレ達さ、三ツ谷にAの過去聞いたの」
「……そっか。ごめんね、あんまり聞いてて気持ちのいい話じゃなかったでしょ」
隆くんのことだし、大方皆が私の気に障るようなことを言わないように皆に伝えておいてくれたのだろう。
「いや、Aの謝ることじゃない。それに本当は三ツ谷に言われたってことも秘密にしておくつもりだったンだけどさ、これだけは言いたくて」
「…?」
「オレ達皆、同情でAに話しかけてンじゃねぇからな」
「………!!」
「皆Aがいい奴って知ってるからたいやき屋まで会いに来てるってこと、勘違いすんなよ」
彼の言葉は私の心臓を突き抜いたような気がした。
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切猫(プロフ) - イチゴミルクさん» コメントありがとうございます(^^)本作を楽しんで頂けて嬉しい限りです!灰谷兄弟とても迷っていたので参考になります…!三途君はちゃんと夢主と絡ませるつもりですので楽しみにお待ちください♡ (2022年10月9日 18時) (レス) @page17 id: 4abe33d0e2 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴミルク(プロフ) - 初コメ失礼します!夢主ちゃん可愛すぎるっ…三ツ谷君とかもちょいとタジタジになってるの尊…オチに関してなのですが,三途君か灰谷兄弟見てみたいなと…希望なので,他の方々でも全然有りです!!!無理しない程度に更新頑張って下さい!応援しておりますっ (2022年10月9日 16時) (レス) @page17 id: 4b77fe0276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:切猫 | 作成日時:2022年10月2日 10時