たいやきが十匹 ページ11
三ツ谷side
ただいま、と大声で言って家へ入るとルナとマナの足音がドドドド…と聞こえてきた。
「お兄ちゃんおかえり!」
「おかえり!」
「ルナもマナも大人しくしてたか?」
「うん!……あれお兄ちゃん、その女の子だれー?」
「だれー?」
「オレのダチだ。今日ウチでメシ食ってくから挨拶しろよ?」
Aのことをルナとマナに紹介する。二人ともAに興味深々だ。
「Aです、お邪魔します………えっ、うわっ!?」
「「美人好きー♡」」
美人好きなオレの妹たちはAを見てすぐに凄い勢いで飛びついた。
やべ、女子がオレん家に居んの変なカンジすんな…
「テキトーに座って待っといてくれ」
「ええっ、申し訳ないし何か手伝いますよ?」
「いいよ。オレが誘ったんだし」
でも…と渋るAの背中を押して居間に案内する。ルナとマナも早くAに話しかけたくてうずうずしているようだ。
Aが買った食品も悪くならないように一旦ウチの冷蔵庫にしまった。
夕飯の支度を始めながら先ほどのAの言葉を思い出す。
−「私、家族がいなくて、一人暮らしなんです」−
そう言ったAの瞳はいつもの明るさを欠き、暗く沈んでいた。
急に誘ってしまったことは申し訳なく思っている。だけど、あんな表情を見せられたら心配せずにはいられなかった。
「えー!三ツ谷くん凄いですね!めっちゃ美味しそう!!」
「Aちゃん、お兄ちゃんの料理は変なもの入ってないから心配しなくていいよー!」
「いいよー!」
「お前ら余計なこと言うな」
オレはAの分も合わせて四つの親子丼を作りちゃぶ台に並べた。
「「「いただきます!!」」」
「遠慮しないで食えよ 」
Aの淡いピンクの口に親子丼が運ばれていく。口に合うのか、という一抹の不安がオレを襲う。
「……!!!凄く美味しい……」
「…そうか。なら良かった」
彼女の嬉しそうな表情にひとまず安堵する。
美味しい、と溢す彼女の周りの空気はとても暖かかった。
Aは綺麗な食い方で残さずに親子丼を完食してくれて、今はゆっくりしている。
ルナとマナは腹一杯食べて眠くなったのか、居間でゴロゴロし始めた。
オレは食器洗いを終え、Aの正面に座る。
「なあ、A。お前の家族のハナシ、良かったら聞かせてくんねぇか?」
そう言ったオレを見つめるAの表情は不安で揺れていた。
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切猫(プロフ) - イチゴミルクさん» コメントありがとうございます(^^)本作を楽しんで頂けて嬉しい限りです!灰谷兄弟とても迷っていたので参考になります…!三途君はちゃんと夢主と絡ませるつもりですので楽しみにお待ちください♡ (2022年10月9日 18時) (レス) @page17 id: 4abe33d0e2 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴミルク(プロフ) - 初コメ失礼します!夢主ちゃん可愛すぎるっ…三ツ谷君とかもちょいとタジタジになってるの尊…オチに関してなのですが,三途君か灰谷兄弟見てみたいなと…希望なので,他の方々でも全然有りです!!!無理しない程度に更新頑張って下さい!応援しておりますっ (2022年10月9日 16時) (レス) @page17 id: 4b77fe0276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:切猫 | 作成日時:2022年10月2日 10時