[ONE PIECE] ４つのキセキ -5-

No.181 ページ17

貴「あの…、
少しだけここにいて…いいですか？」


ｿﾞﾛ「……勝手にしろ」



そのぶっきら棒な優しさが、妙にくすぐったい。




貴「ふふっ、変わらないですねー、
ロロノアさんは…」


ｿﾞﾛ「そうか？
そういうお前も、全然変わってねぇぞ」


「そうですか？」って、首を傾げて見せた。






ｿﾞﾛ「それにしても、
まさかお前がルフィの姉貴だったとはな…」


貴「私もビックリですよ、
ロロノアさんがルフィの船に乗ってるなんて」


海は広いようで、実は案外狭いのかもしれない。






互いに喋らなくなり、少し無言の時間が流れる。

でも、気不味くはない。



ザザッと強い風が吹いて、
流れた雲が月を隠した。




ｿﾞﾛ「会いたいヤツには…、会えたのか？」


ロロノアさんの瞳は真っ直ぐに、
黒い海を見つめている。



貴「…会えないですね。

会えない可能性のが高いですから、当然なんですけど…」



ｿﾞﾛ「……そんなヤツを、
これからも闇雲に捜すのか？ …お前は」






…考えた事はあった。

もう、諦めた方がいいのかなって…。



そもそも私が認めたくなくて、
いつまでも未練がましく捜しているだけ。


"信じる"なんて、都合のいい言葉に置き換えて。




もう、いっその事……。





貴「……会いたいんです」


でも、結局はそこに戻ってしまう。





貴「どんなに可能性が低くても、例えゼロでも、それでも諦めるなんてしたくない。

…だって、会いたいから」

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