最終話 ページ47
｢A、俺の部屋来る？｣
｢行かない。｣
｢…なんでだ？｣
｢行かないよ！！よくこのタイミングでそんなこと言えたね！？｣
｢何に怒ってんだよ！！タイミングって何だ！？｣
｢ちゃんと考えればわかるよ！！アホ！！｣
｢Aは俺にアホって言い過ぎだろ！｣
｢じゃあバカ！｣
鋭児郎が距離を取ったのをいいことに、私はサポート科の寮を目指して走り出す。鋭児郎が後ろで何か叫んできてるけど、そんなこと知ったこっちゃない。
ああダメだ、やっぱりこういう時逃げちゃうんだ私。だってあの場に留まっていられないよ、鋭児郎は部屋に来るか、とか言い出すし…
上鳴くんは、私のこういう所を"自分の感情に真っ直ぐだから"って言ってくれたけど、鋭児郎はどう思ってるんだろう。
嫌いじゃないんだよ、好きなんだよ、好きだからこそなんだけど…鋭児郎が勘違いしてたらどうしよう。
じわじわと私の中に不安が渦巻き始め、咄嗟に足を止めて振り返る。
｢うわっ！？｣
｢い"っ！？｣
｢いきなり振り返んなよ…大丈夫か？｣
｢大丈夫じゃない…｣
私が振り返った時、案外近距離に鋭児郎がいて、そのまま突っ込んでしまい私は顔面をぶつけた。
デジャブ…凄いこの光景見たことあるよ私…鼻痛い…もげる…。確か最初にこんなことがあったのは、一緒に出かけてボーリングとかした日だったっけ…。
ぶつかってしまったのは完全に私が悪いだけなのに、心配してくれるんだね鋭児郎…
涙目になりながらも鋭児郎に向き直り、浮かんだ疑問をそのままぶつけてみる。
｢鋭児郎、なんで私が逃げたら追いかけてくんの？｣
｢前にも聞いてきてたなそれ。そりゃあ追いかけるだろ、Aを一人にしたくねぇし。｣
｢…｣
｢な、なんで黙り込むんだよ…｣
｢鋭児郎が優しすぎて心配になってきた…｣
｢お前また詐欺に気をつけろだとか言うんじゃねぇだろうな〜？｣
｢い、言ってない！今回はまだ言ってないってば！｣
鋭児郎が私の頭を掴み、じわじわと力を込めてきた。
あ、いつもの感じだ…そう思った。
恋愛なんて慣れてないし、普通の恋人同士がどんな感じなのかわからなくて、どんだけ私がから回ってても、最後にはこうやっていつも笑わせてくれる鋭児郎が好きだよ。
幼馴染から始まったこの恋愛。
少しづつ前には進んでいるけれど、
慣れるのはまだまだ先のようです。
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アヤゴン(プロフ) - とてもおもしろい作品でした！切島くんに彼女がいたらこんな感じなんだろうな~っていうイメージがぴったりでした！キュンキュンしました。是非また名取さんの切島くん小説が読みたいです。 (2018年10月3日 16時) (
レス) id: ad1b6027dd (このIDを非表示/違反報告)
名取(プロフ) - ミルクさん» 信遅れてすみません、二人の、慣れていないが故に思うようにいかない初心者のような恋愛を書いていきたいと思っていたので、そう言っていただけて嬉しいです。本当ですか…私の他の作品が少しでもミルクさんの暇潰しにでもなれば幸いです。応援ありがとうございます！ (2018年6月10日 13時) (レス) id: 100ff026ee (このIDを非表示/違反報告)
ミルク(プロフ) - はじめまして！コメント失礼いたします。完結おめでとうございます！夢主さんが切島君の言葉や態度に一喜一憂する場面、逆に切島君が夢主さんの態度に一喜一憂するなど読んでいて本当に面白かったです！次の作品も読ませていただきます！これからも頑張ってください！ (2018年6月6日 20時) (レス) id: a44e70b828 (このIDを非表示/違反報告)
名取(プロフ) - パパラチアさん» なんというか、もう本当にうれしいです...作品のことを好きでいてくれるのは私もこの上なく嬉しいですし、何より書いてよかったと心から思えます。次回作も楽しんでもらえるようにコツコツ書いていきますね、コメントありがとうございます！ (2018年6月6日 20時) (レス) id: 535f9be42a (このIDを非表示/違反報告)
名取(プロフ) - Kasumi17さん» 楽しんでいただけたようで私も嬉しい限りです、今作だけに限らず他の作品まで見てくださってありがとうございます。「なぁ、先生。」のほうでも楽しんでいただけるように更新頑張りますね、ありがとうございます..！ (2018年6月6日 19時) (レス) id: 535f9be42a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名取 | 作成日時：2018年5月21日 1時
