【2】メロスは夕日に向かって走る ページ6
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翌日、わたしは朝から例の彼に何を話そうかという事で頭がいっぱいだった。
趣味はなんですか？特技はなんですか？ ･･････いや、お見合いか！ド定番すぎるし共通するものがなければ、そうなんだ！へぇ〜！で終了。すぐ頭を抱えるのが目に見えてる。
「どうしよっかなぁ･･････」
「･･････なにが？」
「、うわぁあっ！！！」
「おはよ、」
「お、おはよ･････････」
まさかまさかのご本人登場かいな。
「マサイくん家この辺なの？」
「二丁目のコンビニの斜め前」
「えっ、そーなんだ！わたしもその近く！」
マサイくんが声をかけてくれたおかげで、学校までの道のりで家族構成とか趣味とか一通り聞けた。意外と喋ってくれるじゃん、よかった。
「Aは？」
「、へ？」
「おれにばっか聞いてくるから逆におれも聞きたい」
「そっか･･････そうだね、えーっと、趣味はギター弾くことと、カメラと･･････あとパソコンとか機械系触るの好きかな！」
「、気合うかもな」
「マサイくんもカメラとパソコン好きなんだもんね、仲間だ！」
「･･････家族は？」
「････家族は････････････」
家族、家族･･････か。
「･･･････なんかあったんだろ？」
「････････えっ、」
「無理に話さなくていいよ、誰にだっていろいろあるし」
こんなふうに吃ったら、多分普通の人はズカズカと聞き入ってくるはず。マサイくんは大人だ。
そろそろ学校に着く頃、そういえば、と、何か思い出したかのように少しの沈黙を破った。
「シルクたちと、仲良いの？」
「うん！1月に引越してきたときにダホちゃんが声かけてくれたのがきっかけでほぼ毎日土手行ったりして遊んでるよ」
「、そっか･････････」
「･･････あれ？マサイくんシルクたちと知り合い？」
「、まぁ･･････シルクとは幼稚園から一緒だから」
「そーなの？！えっ、じゃあマサイくんも土手行こうよ！」
「･･･････････いや、遠慮しとく」
おれ、そーゆーの向いてないから。
苦笑いしながら、でも真っ直ぐな目でハッキリとそう言うから、わたしは「なんで？楽しいよ？！」と、いつものテンション優先の調子で言葉を発することができなかった。
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作者名：むぅ | 作成日時：2019年5月6日 1時
