100話 ページ8
「Aちゃんのこと、ずっと心配だったからよかったわ。こんな良い男がいるなら、安心ね！」
奥さんは微笑む。
でも、心配ってどういうことだろう？私一人じゃあ、心配されるくらい不安ってことなのかな。それって相当ショックなんだけど…
「心配？」
トラ男は私の方を見た。
私何もしてないよ！
「あら、お兄さんはご存知ない？
ここだけの話…お役人さんの数人がAちゃんに求婚しようとしてるって…」
「え！？」「！？」
マジか！？お役人って…結構うちに入り浸ってたけど、あの人達がそうなのか？確かに店に来る割には商品あんまり買ってくれないし、ずっと話しかけてくるから好意を持たれてるなぁと分かってはいたが…いきなり求婚ってすっ飛ばしすぎだ。あ、でも江戸時代とかでは普通…なのか？
「Aちゃんの造形技術は都に轟いているし、利用してお金を稼ぐこともできるからね…それに…Aちゃんは別嬪さんで器量良しだからなぁ…」
流石に笑顔が引き攣った。誰かも知らない人と結婚したいわけあるかっての！
いや…でも向こうの情報を得るには良い手段かもしれない。
「へぇ…俺の知らないところでそんなことが…」
トラ男はさも面白いと言うかのような口調で言い、私の体を抱き寄せた。
「わわっ！？」
「重要な情報、礼を言う」
トラ男はそう言って、私を抱き寄せたまま、飲み屋街を抜けた。夫婦は若いって良いなぁと二人で呟きながら、私達に手を振った。
完全に勘違いされた。何でこんなことに…
海賊の男にしては細い腕から抜けようと奮闘するも、抵抗をすればする程力を込められ、痛い。
「トラ男！痛い！」
そう言うと、トラ男は申し訳なさそうな顔をして解放してくれた。
「急にどうしたんだ？」
こんなに話を聞かず、一方的なトラ男は初めてだ。普段の冷静な様子とは違って、焦っているようにも見えるし、怒っているようにも見えた。
「悪ぃ…何のための用心棒か、分かったもんじゃねェな」
「トラ男が謝る理由なんてないだろ？」
「あぁ…それはそうだが…そういう意味じゃねぇんだ」
らしくもなく歯切れが悪い。少しの沈黙が続いた。
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ゆう(プロフ) - とても、楽しく読ませていただいてます。また、続き読みたいです。 (2022年1月31日 15時) (
レス) @page19 id: fe95cae7da (このIDを非表示/違反報告)
あんころ(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます！ (2021年9月11日 19時) (レス) id: 8a86a2abc8 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - もう一つのｐｃを操作してます。続編おめでとうございます。 (2021年9月11日 14時) (レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんころ | 作成日時：2021年9月11日 14時
