103話 ページ11
「だぁ〜…」
駄目だ。トラ男からの告白のせいで全っ然集中できない。埴輪兵士を作るペース落ちてきたし、これじゃあ決戦までに千なんて間に合わない。
「A、しっかりして下さいよ？」
お弓が大量の粘土を肩に担ぎながら、注意する。
分かってるよと言いたくなるが、それを堪えて作業を続ける。
「トラ男殿に告白でもされたんですか？」
「なんでわかるの！？」
お弓はそりゃ分かりますよと困ったような表情で言った。何か…お弓の方が私より大人に見える。埴輪だけど…
そこまで分かっているならと、私はお弓に九里まで来る途中にあった出来事を話した。
「そんなことがあったんですねー。良かったじゃないですか。トラ男殿ならきっとAのことも幸せにしてくれますよ」
お弓は何処か他人事のようだった。そして少し怒っているようだった。さっきの話の中で起こるようなことはあっただろうか？
「私は断ったよ」
「…でしょうね。だから、A様は先ほどから上の空なのでしょう？」
「…」
「貴女様のことですから…恋愛感情を持っているかも分からないのに良い返事をすることは不誠実だと考えて断ったのでしょう。
なら…トラ男殿が貴女様のことを好いていると気づいていて、それを知らなかったように振る舞っていたことは不誠実ではないとおっしゃいますか？」
「！」
私は…なんてことをしたんだ。自分で誠実に生きてるつもりだなんだと言っておいて…
「トラ男殿はただ貴女様の力になりたいと思って貴女様の為に動いてくれた。
そこには…貴女様を振り向かせるためという理由よ下心があったとは思います。ですが、それは純粋な貴女様への好意です。
気づいていらっしゃったにも関わらず、知らないフリをした貴女様の行為はそれを踏み躙るのと同義。
少なくともトラ男殿は真っ正面から貴女様と向き合ってくれていた。なら、それ相応の態度で接しなければ失礼に値します」
磨弓は真っ直ぐな黄金の瞳で私を見つめた。
磨弓の言う通りだ。私はあんなにもトラ男に助けられたのに…私の行いはそれに対して不相応なのものだった。これじゃあ…私怒られちゃう…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 169人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆう(プロフ) - とても、楽しく読ませていただいてます。また、続き読みたいです。 (2022年1月31日 15時) (
レス) @page19 id: fe95cae7da (このIDを非表示/違反報告)
あんころ(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます！ (2021年9月11日 19時) (レス) id: 8a86a2abc8 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - もう一つのｐｃを操作してます。続編おめでとうございます。 (2021年9月11日 14時) (レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あんころ | 作成日時：2021年9月11日 14時
