HERO.162 ページ30
『とっ、とどっ、轟くん！？』
どどどど、どうした。
どういう状況だこれ！？
あたふたとする私をよそに、
轟くんは落ち着いている。
グルグルと目を回しながら顔に熱を覚えたいる私はわりとキャパオーバーだ。
「……悪ィ」
なぜか、
謝ってきた轟くん。
「ヒーローがなんなのかってのは、俺も、わかんねぇ」
轟くんの髪が頬を擽る。
「…爆豪と緑谷の気持ちは、俺もわかる」
轟くんの心臓の音が、心地好い。
「俺達の演習試験が終わってから、水森たちの演習をモニターで見てた。
水森の判断は、間違ってねぇよ。
俺でも、きっとそうする」
『……けど、勝己はやめろって』
「爆豪はきっと、頼れって言いたかったんだろ」
全部、一人で抱えてきたお前だから、
たった一人の、片割れだから、
「水森は、人に頼るのが下手すぎる」
素直に、
単純に、
助けてって、
頼むって、
「無様でも、すがれよ」
「自分も守って他人も守るなんざ、オールマイトでも難しいだろ」
「だからこそ、俺らは協力して戦うんだろ」
私の頭を撫でて、
髪を掬って、
「自分のなりたいヒーローになる。
水森は、どんなヒーローになりてぇんだ？」
私は、
『……オールマイトみたいに、父さんみたいに、
笑顔で皆を救える、ヒーローに…なり、た、い』
「…おう」
簡単なことだった。
勝己はきっと、
例え逆境であっても、
頼れって、言いたかったんだね。
ボロボロと流れる涙は止まらない。
轟くんの制服にたくさんこ涙のシミを作る。
それでも轟くんは決して嫌な顔せず、
泣き止むまで頭を撫でてくれた。
「昔、母さんが。
泣きじゃくってた俺にこうしてくれた。
そしたら、なんか、落ち着いたから水森にやってみた」
『…効果、抜群だよ』
轟くんから離れて、
照れ臭くなって、ヘヘッ…っと頬を掻いた。
轟くんはそんな私を見て、
まだ流れる涙を拭って、微笑む。
「水森は、笑った方がいい」
そう言った轟くんに胸が大きく高鳴った。
「じゃあな。また明日」
『ん、また』
轟くんと別れても、
どうにも心臓がうるさい。
あの笑った轟くんの顔が頭から離れない。
(なん、だろ…)
けど、心が軽くなった。
(あ、肝心なこと言ってない)
背中を向けて歩く轟くんに、
大きく叫んだ。
『ありがとう！』
驚いて振り替える轟くん。
そして、笑った。
(あぁ、心臓がうるさい)
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ゆあ - こんばんは。コメント失礼致します。とても素敵な作品で楽しく読ませていただいております！ですが特別編の勝己くんと一緒 3にて「北朝鮮」を表現の一部として使われておりますが、こちらは取り消したほうが良いと思います。国際問題に関することですので。 (2018年5月17日 1時) (
レス) id: 4b4b197e1d (このIDを非表示/違反報告)
ノア - 特別編の3人との話しがもう最高すぎてやばいです！本編もおもしろいです！更新がんばってください！ (2018年3月11日 21時) (レス) id: 42849da78e (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 初めましていきなりですが本編の続き気になりすぎます！！続き早く見たいので更新頑張ってください！！！！！ (2018年2月11日 3時) (レス) id: b07e3f90c5 (このIDを非表示/違反報告)
moe(プロフ) - 面白いです！更新楽しみにしてます！ (2018年1月30日 21時) (レス) id: 8ed7a0d951 (このIDを非表示/違反報告)
ルッカ - あぁぁぁぁめっっっちゃ続きが気になる……応援してます！頑張ってください！ (2018年1月4日 0時) (レス) id: e083ca4c6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：絞凛 x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時：2017年8月8日 1時
