HERO.161 ページ29
「Aちゃん、一緒に帰らない？」
『あー…ごめん梅雨ちゃん。用事あるんだ』
「あら、そう？じゃあまた明日ね」
『うん、明日』
演習終了日。
ぞくぞくと帰宅する生徒たち。
梅雨ちゃんに帰ろうと誘われたが、
どうにも明るい顔ができそうになくて、断った。
嘘ついてごめんね、梅雨ちゃん。
勝己はさっさと帰ったし、
デクくんはオールマイトのとこへ。
皆、疲れただろうから、
帰宅のスピードはいつもより早かった。
(……帰ろう)
―――
――
―
夕暮れにそまる電車の中。
珍しく人も少なく、
席に座れたので良かった。
背もたれに体を預けて、小さく息をはく。
【その身を呈して守って死んでいった奴を見たお前の気持ちはどうなんだよ！！！】
(…)
勝己の、言うとおりだ。
それを経験した私は、
決してそうならないようにしなくてはならなかった。
けど、
(自分の身を賭けてでしか、戦えない)
自分も守って、他人を守るなんて、
そんな器用な真似できない。
―――
――
―
電車から降りて、
トボトボと歩く帰り道。
その距離も、なんだか今日は長く感じた。
「水森」
『…あ、』
振り返ったそこにいたのは、
今日も今日とてイケメンな轟くんだった。
「………元気、ねぇな」
『……うん』
いつもより重い足取り。
そんな歩幅に轟くんは合わせてくれた。
『……ヒーローって、なんだろう』
ポツリとそう言った。
『今日、勝己とデクくんに、自己犠牲みたいな戦い方すんなって言われちゃった』
『でも、それが間違いだったなんて、私は思わなかった』
『今までだって、そうやってきた』
『…けど、二人のあんな顔見たら、なにが正しいのか、わからなくなっちゃった』
『どう、すればいいのかな。
どんなヒーロー、目指せばいいのかな』
『自分は、自分を賭けてでしか、戦えないのに』
また、ポロポロと涙が溢れだした。
ダメだ、泣いたら。
轟くんが困っちゃうじゃないか。
『……ごめん、忘れて』
精一杯笑ってみせる。
けど、涙は止まらなかった。
「…水森」
轟くんは、
優しく私の名前を呼んで、
腕を引いて、
私の頭は、
轟くんの胸にトン…と収まった。
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ゆあ - こんばんは。コメント失礼致します。とても素敵な作品で楽しく読ませていただいております！ですが特別編の勝己くんと一緒 3にて「北朝鮮」を表現の一部として使われておりますが、こちらは取り消したほうが良いと思います。国際問題に関することですので。 (2018年5月17日 1時) (
レス) id: 4b4b197e1d (このIDを非表示/違反報告)
ノア - 特別編の3人との話しがもう最高すぎてやばいです！本編もおもしろいです！更新がんばってください！ (2018年3月11日 21時) (レス) id: 42849da78e (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 初めましていきなりですが本編の続き気になりすぎます！！続き早く見たいので更新頑張ってください！！！！！ (2018年2月11日 3時) (レス) id: b07e3f90c5 (このIDを非表示/違反報告)
moe(プロフ) - 面白いです！更新楽しみにしてます！ (2018年1月30日 21時) (レス) id: 8ed7a0d951 (このIDを非表示/違反報告)
ルッカ - あぁぁぁぁめっっっちゃ続きが気になる……応援してます！頑張ってください！ (2018年1月4日 0時) (レス) id: e083ca4c6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：絞凛 x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時：2017年8月8日 1時
