マチノソラ23

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「Aさんそれ取って」


「はーい」


「そっからそっちはAのやつ」


「おっけー」


「プロジェクター合わせた？」


「プロジェクター？」


「前に線足りなくなってませんでした？」


「ああ！確認しまっす！」



会議室で資料を並べる後輩は今日も完璧に仕事をする



「須藤」


「はい」


「今日飲み行こっか？」


「今日？いいっすけど」


「うん」


「倫也さん遅いんすか？」


「ううん」






.





.







いつもの定食居酒屋で乾杯すれば
須藤はビールをいつも通りの顔で飲んで




「…………………………別れたの？」



ためもせず直球で聞けば
焼き鳥に手を伸ばした須藤は一瞬動きを止めた。




「……………付き合ってたわけでもなかったんで…」




やっぱり。


最近の須藤はいつも通りだけど、ちょっと。




「順調そうだったじゃん」


「順調でしたよ」


「じゃあ何で？」


「ふふ、ぐいぐいきますねー」


「言いたくないなら喋んなくていいけど」


「………聞いてくれます？」


「おう」



須藤は焼き鳥をもぐもぐして串をカランと入れた



「振られまひた。」



食べながら表情ひとつ変えずに言う須藤は



「私は何なんですかーって」


「…………」


「3回ご飯食べて告白しないと何とか説、やっぱあるのかもしんないっす。まぁ俺のは3回以上っすけど」


「付き合いたいと思わなかったんだ？」


「うん。」


「……………」


「何つーか…人的には好きなんですよ？でも…それだけっつーか」


「いいじゃんそれでも」


「多分出来ないと思うんすよ」


「なにが」


「えっち。」


「……………」


「何か俺相当拗らせてたっぽいです」


「それは知ってる」


「昔は誰でも何回でも出来たのになぁ」


「おい」


「あはは、何かそれの反動っていうか、あー俺本当に好きになんないと出来ないのかなぁって」


「……………」


「……………振られた時、ほっとしたんすよ」


「…………」


「あの子は本当にいー子だったんで、俺じゃなくて、ちゃんと大事に想ってくれる人と一緒になったらいいなーって」


「……………」


「ふふふ……何すかその顔」


「だって……」

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