共犯者に恋をしてはいけません7【安室透/降谷零】

340 ページ40

「.......なにここ」

風「とにかく黙って着いて来い」





ホラーゲームにでも出て来そうなエレベーター
密閉されてないだけじゃなくて、行き先も地下.......

なに、心霊スポット？





ハ「アゥ.....」

「.....大丈夫だよ」





そう何の根拠も無く腕に抱えたハロの頭を撫でながら、やっぱり気になるのは何故かボロボロなメガネ

いやメガネそのものは大丈夫そうだけど、メガネの顔がね

絆創膏とかガーゼとか、手当てをした跡がいくつも





風「ここだ。降谷さんはあの先にいる」

「......あの先？」

風「ああ、行けば分かる」

ハ「アン！アン！！」

「なっ、ハロ！」





急に腕から飛び降りた白いもふもふはそのまま"あの先"に走って行って、それだけでもメガネの言葉より信憑性があったけど

こんな錆びれた場所.......

普通に怖いし


肌寒い空気が足首を絡めとるように





「っ！！」





プルルルル プルルルル




無駄に広い空間に響く電話の音

ホラー展開過ぎて腰が抜けそうになっていると





「え........？」





暗い"あの先"からガラスの側まで出て来た、見知ったどころじゃない男は

左手に受話器を

右手にコードが繋がれた黒電話を持ちながら

この場所の雰囲気とは似つかわしくない柔らかい表情を浮かべて

右の人差し指で私から見て右側を指す

その間も





「........」





プルルルル プルルルル




風「そこにある電話を取れ」






・






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『は.......？爆弾.......？なんで.......？』

降「なんでかな」

『"なんでかな"ってあんた......！』




ガラスの向こうで目の下にくっきりクマを作りながら泣きそうな顔をするAだが、決して悲しんで欲しいわけじゃない

いつものように、頭おかしいだとか言って笑い飛ばしてくれたら......というのは高望みだったか





降「ここはね、公安が所有する地下シェルターでこのガラスも特殊な強化ガラスだ。電波も遮断するし、もしこの首輪が爆発してもハロがちょっと驚くくらいかな」




何度も言うが、ガラスを隔てた向こう側の足元でこちらを見上げる愛犬

その数歩奥では壁に取り付けられた電話を耳元に顔を俯かせた少女

こんなに心配してくれるなんて幸せだなと、思っていた矢先




『......なにそれ......ふざけてんの？』

降「A......？......っ！」




パァン！！




と




風『はっ

『あんた公安なんか辞めたら！？』

341→←339

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す