・スンチョルの想い ページ45
…いや、わかるよ。
コイツがガチでキレてる時、初対面の奴の目にはかなり怖く映るだろうって事は。
でも俺は、彼女に同情する気持ちにはなれない。
だって、彼女が、
女の子が、
”SEVENTEEN”のメンバー候補生になるって事は──
K-POP史上初の、男女混合アイドルグループになるかもしれないって事だ。
”紅一点”の。
────そんなもの、売れるわけがない。
世間が、…何よりファンが、受け入れてくれるわけがない。
喉がカラカラになって身動き一つできないけど、俺の想いと一緒なんだろう、周りの奴らも冷ややかな目で彼女を見ているのが手に取るようにわかる。
一方の彼女は彼女で、まるで初耳とでも言うように、目を見開いて代表を見ている。
それを見て、彼女は何も悪くないのかもしれないと思った。
でも、だからと言って受け入れられないこの状況。
到底信じがたいが、それでも代表は笑っていた。
「あー、まぁそうツンツンするな(笑) Aは女の子だけど、中身はお前達とそう変わらない、アイドルになるための素質がある。お互いいい刺激になると思うから、頑張りなさい」
何を呑気な事を…
代表がどういうつもりでいらっしゃるかはわからないが、俺は、今か今かとデビューに向けて日々励んでいるって言うのに…
これから一体どうなるんだ……
SC「──参ったな、」
零れ落ちた溜息は、感情がセーブ出来ないくらい率直に声色に出た。
初対面の女の子にする態度じゃないってわかってるけど、止まらない。
代表が去った後、俺達も続いてスタジオを一旦出る。
この後も練習だけど、みんなが一斉に部屋から出た事で、一緒に出て来たマネヒョンが肩を竦めて「じゃあ10分休憩」と言った。
廊下に出て来ていないのは、あの子…Aと、あと誰だ…
人数をざざっと数えて、並ぶメンツの中にいない奴を思い浮かべる。
ウォヌか…？
「スンチョル、ちょっといいか」
とここで、俺の思考は声を掛けて来たマネヒョンにぶった切られた。
振り向いた俺に、スペアキーを渡してくれながら。
「てなわけで、今日からAもお前らと同じ宿舎に住んでもらうから」
え…
｢｢｢｢｢ええええええええっっっっ！！？？｣｣｣｣｣
その場にいた奴らのバカデカい叫び声が響き渡ったのは、言うまでもない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1812人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：七瀬 | 作成日時：2022年9月11日 15時
