・ ページ15
目を開けるとオッパも目を丸くしていて、「・・・・Aのスマホ?」と呟く。
手の力が緩んだからオッパの身体を避けて一気に起き上がり、ベッドサイドのテーブルの上に置いてあったスマホを手に取った。
"着信 ウォヌ"
その画面を見て、なんでか無性に泣きたくなる。
JS「もしかして、ウォヌ・・・・・?」
『・・・・・そうみたいです』
JS「そっか、」
バンコクでも毎晩電話をくれてたから、オッパも察しが付いたんだろう。
頷くけど、でもすぐに電話に出る気はしなくて。
手の中で鳴り続けるその無機質な音だけが頭の中でも響くように鳴っていた。
・・・・・うまく身体が動かなかったというのもある。
そうしてしばらく鳴ってた着信音が止むと、黙って私を見てたオッパが前身頃の合わせを整えながらふわっと笑った。
すっかりいつもの雰囲気で。
JS「A、意地悪してごめんね」
『・・・・・意地悪すぎです』
豹変し過ぎでしょ・・・・とジト目で睨む。
本当に怖かったんだから。
JS「ははっ、うん、ごめんね。ちょっとやり過ぎたかな。僕はこの部屋で大丈夫だから。 もう帰りな。・・・・・おやすみ」
そう言ってちゅっとつむじにポッポをすると、私の部屋のカードキーごと身体を押すように誘導するオッパ。
流れるように一方的に部屋を追い出されてしまった。
『ああもう・・・・・・・』
カードキーとスマホを両手に掴んだまま顔を覆って、オッパのドアを背にしてしゃがみ込む。
心臓が止まるかと思った、本当に。
1812人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:七瀬 | 作成日時:2022年9月11日 15時