師弟関係-男主- (ページ10)

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Reunion.Ⅸ ページ10

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「……それじゃあ、始めるとしようか」

こほん。と、謦咳を一つ鳴らし。

見据え続けていた、少年を再び目の端で捉え。

言葉を発する。

「え、あ…はい……？宜しくお願いします…」

尚、相手は萎縮しながら。…であるが。

確りとした眼差しで見詰め返してくれている。…事に安心しつつ、問いを掛ける。

「…先刻、僕は。

"敦君は自分が悪い…と思っている。"

…そう云ったのを覚えているかい…？」

そんな──「敦」と名乗る──少年から放たれる気弱な雰囲気を感じ取った男は何かを悟ったのか、物腰を和らげつつ先へと促す。

「えっ…？あ、はい。勿論…です」

「……そして今、解答合わせをしようか。

…と、云った事も──…」

男は少年…敦が一つ頷いたのを黙視。

そうして、何故だか唐突に口を閉ざし出す。

「勿論、です…けど、それが何───」

当然、敦は男が何を思惑しているかなど考えても見ていない。

だから、思った事をそのままの速度で吐き出す事にしようとした____刹那。

先程同様、敦が云い終わる事などは決してなく。

代わりに平行して響いたのは_____平淡とも呼称出来るであろう、男の声だった。

「自身を卑下すればする程、他者…詰まりは他人との距離感、そして価値観に歪みが生じて来る──…。

……若し辿り着いてしまったのなら、最後だ。

誰の言葉も行動も信念…と云うのかな、此の場合。…も信じられぬ壗」

───抜けられぬ憐憫と嫌悪の狭間で。

「苦痛を味わう事に為る。

…その状況へ陥っても構わない。

……と、君は──…敦君は。

本気でそう思っているのかい……？」

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