師弟関係-男主- (ページ6)

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Reunion.Ⅴ ページ6

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運の善いことに。

敦の呟き("…恥ずかしい……っ…家に帰りたい……")は、男には聴こえていなかったらしく(と云うのも当の本人は____っているからである)。

敦は、ほっ…と溜め息を吐き出しつつ、男を見詰め続けていた。

「ふっ…はは！けほ…っ！
はは……っ！……はっ…」

河川敷に響き渡る、笑い声。

しかも可也、独特な模様らしく、……先刻から、人が通る度に視線を感じている。と云っても云い位の声だ。

と、敦は隣──叢(くさむら)の隅に座りつつ、感じているのだった。

「……あ…あの……」

視線が厭なのか、それとも人が厭なのか。…明白では無いが。

それでも敦は臆する事、無く。

未だ我を忘れ笑い続けている。と云っても良いであろう男に、意を決して声を掛けた。

「！……は…っ…ふ……、あー…久しぶりに笑った…なぁ…ふふ…っ！」

声を掛けるも、笑い声……声量に負けてしまい、意味を為さずにいた。

「───あの…！」

が、此処で負けてはいられない。

と、謎の意思を所持し始めている敦なので、恥を忍んで何とか声を出す。

「……ふふっ、は…っ……ん…？何…だい…？く…っ……はは…ご、御免…！…御免なさ…」

が、しかし。此方も此方で負けてはいないらしく。

…男は笑い過ぎてしまったのか、瞼からは涙が出、声は震えを為していたのだった。

「…あ…いや……良いんです…。その……笑われて当然だと思いますし…。

……唯、そんなに笑っていたら、息…出来ないんじゃ……と…」

敦は自身の失態よりも男の身を按じているらしく、先刻から下がった侭の瞼を下げ乍。

吐き捨てるかの如く言葉を切り、再び瞼を下げつつ、地面──生い茂る雑草──…を、見詰め出すのである。

男は、漸く嗤いが治まったのか肩で大きく深呼吸をし、敦の問いに答えようと、口唇を震わした。

「……嗚呼…うん…確かにそうかも知れないねぇ。

……処で、だ。何故、その考えに至ったのか。

是非とも君の解答を教えて呉れると有り難いのだけれど…」

_____如何だい？

だが、男は敦の問いに疑問を持ってしまったのか、笑うと云う行為を停止し。

____真面目な雰囲気で問い質し始めるのであった。

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