師弟関係-男主- (ページ46)

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Reunion.ⅣⅩⅣ ページ46

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男の言葉に対して、"それは違うんじゃ…"と思い乍、敦は必死に言い張った。

「…それでも！貴方の事を本気で嫌悪している訳じゃないと───！」

だが、抗議の声も虚しく。

凡て"拒絶"の意味合いとして返されてしまった。

「……黙っていて呉れないかい？…慥かに君の、敦君の云い分は正しい。

それは間違い何かじゃ無いと思う。

だけれどね、僕にも遣らなければ為らない事柄…事が有るんだ。」

男は何杯目かの水を仰ぐ。

仰いだ後に短く息を吐き、更に言葉を続けようと口を開いた。

「その為だったら、如何な非道な任務も、誰かを…組織の皆や此の街の人々…建物を破壊する事に成ろうとも───ね。
だから」

何処か儚げな風貌でそう、男は云った。

が、しかし。男の言葉に尚も納得がいっていない敦は喉から出た語彙を止められない。

と云う風に、声を張り上げて伝えた。

「けどっ！貴方は、本当に今の侭で良いんです──っ」

張り上げていた刹那、衝撃が痛覚と化して敦の躰へと走った。

「……っ」

辛うじて意識が保たれていた事に安心を覚えつつ、前を見据えた。

「…悪りぃな、中島敦さん。
異能力───『恩讐の彼方に』」

其処には片目に包帯を巻いている青年がいた。

青年は元からその心算だったのか、或いは、そうしろ。と命じられたのか。

如何らかは判らないが、淡々と言葉を、『異能力』を発動させる。

辺りは光に包まれた。

男は光に包まれた空間を、暖かい視線で見詰めていた。

そして異能を発動させた青年の姿を視認すると、笑みを湛えた。

湛えた侭で、先程と同じ声色で気を失ってしまった敦に向かって言葉を掛けるのだった。

「…………善いと思わなければ如何する事も行動を執る事も出来無いんだ。

…判って呉れ。とは云わない。

唯、頭の片隅にでも置いといて呉れたら…と願うだけ。

唯、……それだけさ。」

云い終えた刹那、男は気を失った敦の前に居た青年に何かを伝える。

青年は男の伝えた事に対して、些か乗り気ではなかったが。

渋々り、御機嫌斜めな様子になりつつも承諾し、男に向かって云った。

「……後で何か奢れよな。…んで此れで良いのかよ…？」

「………嗚呼、それに関しては予定表通り進んでいるから。

そこ迄、気に止める必要は無いよ」

男は青年の言葉に対して、深く頷く。

と心配そうに敦を見詰め出すのであった。

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